「科学の街」に建つ、メルクのイノベーションセンターとは

「科学の街」に建つ、メルクのイノベーションセンターとは

アイデアを交換し、推進する場所「メルクのイノベーションセンター」

ドイツ中西部に位置するダルムシュタット。別名「科学の街」とも呼ばれるこの街には、科学分野の研究機関や大学・ハイテク企業が集まります。350年という歴史を持つ世界最古の製薬グループ、メルクの本社もその一つです。

現在、メルクは「ヘルスケア」「ライフサイエンス」「パフォーマンスマテリアルズ」の3事業を手がけ、それぞれの分野で技術革新に向けた研究開発に取り組んでいますが、近年、とりわけ力を入れているのが、事業の枠を越えた「イノベーション ー アイデアの交換と推進」です。

その象徴となっている「場所」が、2015年4月にオープンした「イノベーションセンター」です。本社中央部に位置する6階建ての建物で、広さは延べ床面積7,100平方メートル。研究開発や事業開発のプラットフォームとして、メルク社員、社外の研究者や起業家、スタートアップ企業がこのセンターを利用しています。

世界各国から「人」と「テクノロジー」が集まり、意見交換も活発。ここで生まれた素晴らしいアイデアはすぐに事業化が検討されます。このように新しいチャレンジを支援する「環境」や「仕組み」が整っていることは、イノベーションセンターの魅力と言っていいかもしれません。

アイデアをスケールアップする2つの活動

既存の枠組みを超える新しいアイデアを、ビジネスにスケールアップさせる——。イノベーションセンターでは、そのための様々なプログラムが用意されています。

以下、代表的な2つの活動を見ていきましょう。

  • グローバルアクセラレータープログラム

    バイオセンシングやリキッドバイオプシー、クリーンミートなどの注目分野で事業展開するスタートアップ企業をサポートしているのが、グローバルアクセラレータープログラム。メルクとの提携を最終目的に、戦略面や経営面で3ヶ月間のアドバイスが提供されます。

    プログラムを通して世界66カ国、5万人以上の専門家や卒業生とつながることができ、2015年の開始以降、これを活用したスタートアップ企業は40社に上ります。グローバルアクセラレータープログラムには2種類あり、ひとつはドイツ・ダルムシュタットのイノベーションセンターでの本部プログラムです。そして、もうひとつは中国・上海のイノベーションハブにおける中国プログラム。中国市場が視野にある場合は同プログラムへの直接応募が可能であるほか、本部で選ばれたスタートアップ企業も、こちらへの参加資格を得ることができます。

    なお、ほかにも様々な国でサテライトプログラムが提供されています。

  • ハッカソン

    ハッカソン(Hackathon)とは、ハック(Hack)とマラソン(Marathon)を掛け合わせた造語で、短期間に集中してサービスや技術を開発し、成果を競うイベントの一種を指します。

    イノベーションセンターで行われるハッカソンも、特定の課題に対してさまざまな分野の学生、若手の起業家および専門家が協力。「内容により24〜36時間以内にゼロからユニークな解決策を模索・開発する」というものです。

    具体的には、参加者は未来を作り上げる一員としてチームを結成し、現在メルクが抱える現実的な課題に取り組みます。専門家から直接指導が受けられるため、参加者にとって最新の技術に触れる絶好の機会となっています。また、イベントごとに賞品が用意され、上位のチームに贈られます。

学生と共にイノベーションの種をまく

メルクのイノベーションへの取り組みは、研究者やスタートアップ企業だけでなく、大学院生やポスドクにも開かれています。その一つが、毎年開催される「バイオファーマイノベーションカップ」です。

2019年の実施例では、世界各地から選ばれた30名の学生が、ダルムシュタット本社で1週間を過ごすサマーキャンプで、メルクの経営陣や海外の専門家によるプレゼンテーションのほか、チームごとに協力してビジネスプランを作成するコンペティションが行われます。

旅費、宿泊費、食費などのサポートがあるだけでなく、優勝チームにはInnovation Cup Awardと賞金20,000ユーロが、また準優勝のチームには賞金5,000ユーロが授与される予定です。

イノベーションカップは、ライフサイエンス、データサイエス、ビジネスアドミニストレーション分野の大学院生およびポスドクであれば応募可能です。イノベーションカップ2020の申し込みは秋頃を予定してるので、ぜひサイトをチェックしてみてください。