【ブランドストーリー】創業350年のメルクの歴史、始まりは「天使薬局」

【ブランドストーリー】創業350年のメルクの歴史、始まりは「天使薬局」

メルクってどんな会社? その軌跡

メルクは、ドイツのダルムシュタットに本拠地を置くサイエンスとテクノロジーの世界的企業です。1668年に誕生し、2018年の今年は創業350年を迎えます。世界で最も歴史ある医薬・化学企業として、バイオ医薬品療法から、科学研究と生産に関する最先端システム、スマートフォンや液晶テレビ向けの液晶材料にいたるまで、常に時代の変化を見据えながら新たな革新に挑戦。現在では世界60カ国以上に約5万人の従業員を擁するグローバル企業へと成長しています。

メルクの日本法人・メルク株式会社は、本社製品の輸入・販売を主な目的として1968年に設立されました。以来、液晶材料やパール顔料、IC材料や次世代エネルギー分野を支える新規材料を提供するパフォーマンスマテリアルズ事業と、バイオサイエンス基礎研究から創薬、医薬品製造等のライフサイエンス分野に関わる製品・サービスを手がけるライフサイエンス事業を展開。2017年1月からは、日本国内におけるパフォーマンスマテリアルズに関連する全事業活動をメルクパフォーマンスマテリアルズ株式会社に統一し、メルク株式会社はライフサイエンス事業とグループの管理部門を担っています。

メルクの始まりは天使薬局

メルクのルーツは1668年に、フリードリッヒ・ヤコブ・メルクが経営権を取得したドイツ・ダルムシュタットの「天使薬局」までさかのぼります。1668年といえば、日本はまだ江戸時代です。ガリレオが地動説を擁護したとして宗教裁判にかけられたのが1632年ですから、科学の世界はまだ混沌としていました。汗で汚れたシャツに油と牛乳を垂らし、それを小麦の粒と一緒に壺にいれて倉庫に放置すると、ハツカネズミが自然に発生するという実験が大真面目にやられていた時代です。もちろん、医学の世界もまだまだ発展途上。科学的にわからないことが多い中、当時の薬剤師たちは、植物や動物、鉱物を原料に医薬品を調合しており、薬の品質と価格は、法律と税制によって決められていました。今でもメルク家は、この「天使薬局」を所有しています。

メルク家といえば、1741年に生まれたヨハン・ハインリッヒ・メルクが有名です。彼は作家であり、自然科学者であり、美術や文学の専門家でもありました。若き日のゲーテの友人で、その後援者としても知られています。ゲーテの作品「ファウスト」の登場人物メフィストのモデルなのだそうです。

たゆみない研究開発がメルクの未来を作っていく

メルクの特徴のひとつとして、研究開発に力を注いでいることが挙げられます。1827年にハインリッヒ・エマニュエル・メルクが、医薬品販売業から研究開発指向型の製薬会社への移行を実現して以来、常に最先端の技術を目指し研究を続けています。

1917年、ドイツの会社であるメルクは第一次世界大戦によって痛手を被りました。しかし、その後メルクは最新の科学の進歩を製品化することで持ち直していきます。1921年には、最初の農薬を発売。さらに、くる病や壊血病など各種欠乏症の治療を目的とした最初のビタミンD製剤Vigantol®が1927年に、同じく最初のビタミンC製剤Cebion®が1934年に発売されました。また、X線造影剤の開発で、診断技術の向上に大きく貢献しました。1933年にはパール顔料の試験が開始されました。メルクグループの事業は世界中に広がっていますが、多様な分野における新しい領域の研究開発に毎年売上の約20%を投資しています。

化学、医薬品、ライフサイエンスと買収によって広がっていく事業

メルクのもうひとつの特徴は、ヘルスケア、ライフサイエンス、パフォーマンスマテリアルズの3つの分野を軸に、ビジネス業界トップクラスの企業を買収することで事業を多角化させてきたことです。

2007年 スイスのバイオ医薬品企業セローノ社を買収
2010年 超純水製造装置のトップブランドMilliQで有名な企業米国ミリポアを買収
2015年 研究試薬のトップ企業シグマアルドリッチ社を買収

メルクの350年の系譜を簡単な図にしてみました。各会社の統合により、ロゴマークのデザインも変遷してきています。

メルクとミリポアのロゴの変遷

メルクがもつライフサイエンス系の4つのブランド

メルクの医薬品事業部はメルクセローノ株式会社として独立し、ミリポアとシグマアルドリッチは、メルクのライフサイエンス分野の主要なブランドとなりました。現在、ライフサイエンス分野は4つのブランド名によって展開されています。

  • Sigma-Aldrich…研究試薬 製品数約30万品目。シグマアルドリッチは、業界トップの試薬数を誇っており、「シグマアルドリッチにない試薬はない。最後の砦」と言われていました。メルクと統合したことで、研究試薬、最先端のゲノム編集ツールや名の材料を含め35万を超える製品群を扱えるようになりました。
  • MilliQ…純水、超純水装置
    超純水装置で世界的なシェアを誇るMillipore社のブランド名。MilliQ waterと論文にそのまま名前が記載されるほど、超純水の名が出るほど代名詞的な存在です。研究室における試験、研究、分析に必要な信頼性の高い水を提供します。
  • Millipore…フィルター関連製品
    精密フィルターを強みとし、ライフサイエンス研究用機器や試薬、微生物検査、食品および環境分析、臨床診断薬用材料、研究室用の化学品、機器、消耗品、超純水・純水製造装置、また医薬品・バイオ医薬品の原料および開発・製造のための製品まで、ライフサイエンス分野の幅広い領域を手がけています。
  • Supelco…分析関連製品
    シグマアルドリッチのブランドのひとつ。様々な分析用カラムや標準物質を取りそろえています。

様々な製品を総合的に提供できることがメルクの強みです。もし、探しているものが見つからないということがありましたら、サイトのウェブ検索だけでなくお気軽にテクニカルサポートに聞いてみてくださいね。

メルクのブランドイメージ 色と形の秘密

メルクのカタログやウェブサイトや受付はカラフルでぽにょぽにょしたスライムみたいな図形があちこち飛んでいます。M-hubのサイトも同じような色使いですね。

このデザインは、シグマアルドリッチが統合されたのとほぼ同時期の2015年に発表されました。メルクの系譜を表した図からもわかりますが、今までメルクミリポアは青と白のデザインで、シグマアルドリッチは赤と白という、どちらもシンプルな色使いでした。それが統合されてこんなポップになったのです。躍動する未来へ向けて新しい1歩を踏み出す事を表明し、ブランドデザインを一新しました。

実はこれ、顕微鏡で見た細胞のイメージなのです。ポップな色使いは、染色した細胞の色。角のとれたぽにょっとした形も、細胞を表現しているのなら納得ですね。

以上、メルクの歴史を振り返って紹介しました。太陽が地球の周りを旋回し、生物が自然に発生すると思われていた時代から、遺伝子を自在に改変できるようになった今日まで、科学は目覚ましい発展を遂げてきました。その中で、それぞれの時代の研究ニーズに応える製品を開発してきたメルクは、次のようなテーマを胸に350周年を迎えます。

“Always curious - Imagine the next 350 years.”
いつも好奇心を―350年先の未来まで

さて、350年後はいったいどんな世界になっているのでしょうか。これからもメルクをよろしくお願いします。