英語論文の読み方のコツとは?英語が苦手な理系研究者必見

英語論文の読み方のコツとは?英語が苦手な理系研究者必見

大学の学部時代の成績と、研究者としての実力は、必ずしも比例しないとはよく言われることです。学科試験は抜群であったのに、研究室に配属されてからは伸び悩む人は、決して少なくありません。

これにはいろいろな原因がありますが、英語論文を読むのが苦手であるためというケースが少なくないようです。自分の研究分野の最新の動向も、日々行なう実験のプロトコルも、ほとんどは英語の論文という形で提供されます。

歯や内臓が悪く、十分な栄養を摂取できないと健康な成長は望めないのと同じで、英語論文をすらすらと読みこなせないのでは、必要な知識の吸収はままなりません。

とはいえ日本人にとって、やはり英語論文はハードルが高いものです。しかし英語の成績がさほどよくなかった人でも、ある程度慣れさえすれば意外に読みこなせるようになるのも事実です。論文の書き方はある程度決まっており、必要以上に複雑な構文や、含みを持たせた文学的な言い回しは使われません。きちっと順を追って読んでいけば、一通りの意味にしか取れないように、英語の論文は書かれているのです。

そこで本記事では、英語が苦手な若手研究者向けに、英語論文の読み方のコツを紹介します。

アブストラクトを読め!

科学論文は、ジャンルによって多少の差はありますが、いわゆるフルペーパーはおおむね以下のような順序で構成されています(レターという、本文と結果の概略だけを1~4ページ程度にまとめた短い論文形式もあります)。

  1. アブストラクト(要旨)
  2. イントロダクション(導入部)
  3. 本文(試料と方法)
  4. 結果
  5. ディスカッション(考察)
  6. サマリーまたはコンクルージョン(結語)
  7. 参考文献
  8. 謝辞

これだけきっちりと書かれている論文なのですから、最初から最後まで読み通し、隅々まで理解して頭に入れなければ――と思ってしまうのですが、最初のうちはあまりおすすめしません。真面目な人ほど頭から逐語訳をしてしまいますが、多くの場合イントロダクションだけで力尽きてしまいます。

イントロダクションは、「その論文が解決しようとしている問題は何か」を記す部分であり、もちろん重要なセクションではあります。ただしそれだけに抽象的な表現なども多く、その分野全体の基礎知識がないと理解が難しいものです。

お勧めしたいのは、まずアブストラクトをしっかりと読み込むことです。アブストラクトには、その論文で行なった実験と結果、そこから得られた結論が、10行ほどの文章にコンパクトにまとまっています。

次に読むべきはサマリーです。ここには、実験前の検討、得られた実験結果、その考察、今後の展望などが記されています。つまり、アブストラクトとサマリーを読むことで、その研究で行った実験と導いた結論が、大筋で理解できるわけです。

本文を読むにしても、この論文はどこへ向かっていくのか、何を調べたいのか把握できぬままに読み進めるのと、目指すゴールのありかを知って読み進めるのでは、理解度に格段の差が出てきます。論文の「骨格」を最初に押さえ、その肉付けとして本文を読んでいくイメージです。

わからない単語は後回し

論文を読んでいると、当然知らない単語が出てきます。しかしそういう場合、意味を調べるのをいったんぐっとこらえて、2~3回全体を読み返してみることをお勧めします。

その理由は二つあります。一つには、最初のうちは知らない単語が多いので、辞書を引くだけで気力が尽きてしまうためです。

そしてもう一つは、類推力を鍛えるためです。知らない単語を「たぶんこんな感じの意味合いだろう」と、その場で推測しながら読み進められるようになれば、読み進む速度は格段に上がります。

もちろん、その論文のタイトルやアブストラクトに何度も出てくるような、キーワードになる単語については、辞書なりウェブ検索なりで調べて、きっちり意味を把握しておかねばなりません。この「キーワード探し」のためにも、最初にアブストラクトやサマリーを読んでおくことが有効なのです。

前述の通り、論文に使われる表現はある程度限られており、頑張って20~30報も読んでいると「この表現は前にも見たな」ということが増えてきます。これらを身につければ、読む速度・精度ともぐっと上がるものです。

それでも、やはり辞書を引かなければ読み進められない場面も出てきます。その場合、ポップアップ辞書(単語にマウスカーソルを重ねるなど簡単な操作だけで、その単語の意味がポップアップ表示される)を使うと、辞書を引く手間が大いに省けます。ブラウザの拡張機能として組み込めるものもいくつかありますので(一例)、試してみて自分に合いそうなものをインストールするとよいでしょう。

翻訳ツールを使いこなす

ここ数年で論文閲読環境を大きく変えたのが、高精度の翻訳ツールの登場でしょう。しばらく前にはほとんど使い物になりませんでしたが、深層学習技術の登場で一挙に翻訳精度が向上し、実用に耐えるものが出てきました。

研究者がこうしたツールを使うことには賛否もあり、論文くらいコンピュータに頼らず自力ですらすら読めるようにならねばダメだ、という人もいます。

しかし、カーナビやスマホの地図を意地になって使わず、道に迷っているような人は今や笑い者でしょう。自分なりに翻訳した後、ツールによる訳文と照らし合わせることで、英語力を高めるような使い方もあります。使えるツールがあるのなら、試してみない手はありません。

Google翻訳は、深層学習による高精度翻訳の口火を切った存在であり、無料で気軽に使えるのがいいところです。ブラウザで翻訳サイトに行き、訳したい文章を枠内にコピー&ペーストするだけで、訳文を即座に返してくれます。日英間だけでなく多くの言語に対応しており、どの言語であるのか自動で判定してくれるのも便利です。

またGoogle翻訳のスマホアプリもあり、カメラを向けるだけで画像内のテキストを翻訳してくれます。ただし、翻訳精度は後発の翻訳ツールに追い抜かれ、今となってはかなりぎこちない訳文という印象です。

翻訳精度で現在最高といわれるのが、ドイツの企業が開発したDeepLです。Google翻訳と同様の使い勝手で、かなり自然な文章を返してくれます。無料プランでは5000字以下という制限はありますが、実用には十分でしょう。

ただし、たまに専門用語の誤訳が見られること、また時に訳しにくい文章を丸ごと飛ばしたりもするので、確認が不可欠です。

両者とも、WordやPowerPointファイルを丸ごとアップロードし、まとめて翻訳させるようなこともできます(Google翻訳はPDFなども可)。また、Chromeブラウザの拡張機能として組み込むこともでき、これによってウェブぺージを丸ごと翻訳表示させることもできます。

このように、便利なツールを使いこなすことで、論文閲読は格段に効率的になります。ただし、本当に精度よく論文を読みこなすためには、やはり大量の英文と自ら格闘するよりありません。読みやすい英文を書けるようになりたいなら、なおさらのことです。

まずは今回紹介したコツとツールを活用し、英文を読むことに慣れるのが第一歩かと思います。こうして身につけた英語力は、将来どんな分野に行っても活きるものです。ぜひ、強力な武器を手に、論文の森に飛び込んでみてください。

※本文の情報は、2021年6月時点のものです。

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