【初めての論文投稿⑧】オンライン投稿~準備から投稿完了まで~

【初めての論文投稿⑧】オンライン投稿~準備から投稿完了まで~

オンライン投稿前に準備すべき7つのこと

論文の原稿が仕上がったら、あとは投稿するだけです。現在はオンライン投稿が主流で、雑誌や出版社のサイトには専用フォームが設置されています。投稿の方法はそれぞれ異なります。投稿規定をよく読めば必要な情報は書かれていますが、投稿初心者は戸惑うことも多いはず。以下に、投稿前に準備しておくことを挙げますので参考にしてみてください。

<投稿前に準備すべきこと>

  1. 校閲(第三者による論文内容のチェック)
  2. コレスポンディング・オーサーの決定
  3. 著者の決定と、著者への確認
  4. COI(Conflict of Interest:利益相反)の記載
  5. データシェアリングの準備
  6. Acknowledgements(謝辞)
  7. 推薦する査読者の決定

それでは、それぞれの項目について詳しく見ていきます。

  1. 校閲(第三者による論文内容のチェック)

    英語の間違いを校正するネイティブ・チェックに関しては「【初めての論文投稿⑦】タイトルページ・アブストラクト・引用文献」で触れましたが、文章の良し悪しだけでなく、校閲(内容に踏み込んだ校正)も第三者に行ってもらいます。図表と本文の数値が一致していなかったり、単純な書き間違いで論理に矛盾が生じていたりすると、論文の主張を正しく伝えることはできません。複数個所に渡ってそのようなミスが存在すると、査読者の印象も悪くなります。

    校閲は専門業者に外注することをおすすめしますが、それができない場合は研究者の友人やポスドクなど、著者以外で研究のことがわかる人に読んでもらうとよいでしょう。

  2. コレスポンディング・オーサーの決定

    コレスポンディング・オーサーとは責任著者のことを指します。コレスポンディング・オーサーは、論文の内容すべてに責任を負い、ジャーナルとのやりとりや論文への問い合わせにも対応します。大学院生が第一著者の場合は、研究室の教授か直属の指導者が担うことが多いでしょう。

    ここで注意してほしいのは、コレスポンディング・オーサーはさまざまな実務作業の窓口にもなるということです。投稿時には連絡先の登録が必要になり、ジャーナルによってはコレスポンディング・オーサーのIDでしか投稿作業が行えない場合もあります。論文がアクセプトされれば、内容の問い合わせや別刷りの請求にも対応してもらわなくてはいけません。

    教授や指導教員にコレスポンディング・オーサーを依頼する場合は、どのような作業が必要になるのかをあらかじめ調べ、伝えておきましょう。共同で作業ができると最もスムーズです。そうでなくても投稿時にはコレスポンディング・オーサーと密接に連絡が取れる状態にあることが理想的です。雑誌からの問い合わせや最終確認はコレスポンディング・オーサーしか対応できない場合もあるからです。できれば、依頼時に相手のスケジュールも確認しておきましょう。

  3. 著者の決定と、著者への確認

    論文の著者は誰の名前を載せてもよいわけではありません。論文に確実に貢献した人が著者になります。たとえば、医学雑誌編集者国際委員会(International Committee of Medical Journal Editors、以下ICMJE)のガイドラインでは、著者が以下の4つの基準をすべて満たすことを推奨しています。

    ・Substantial contributions to the conception or design of the work; or the acquisition, analysis, or interpretation of data for the work; AND

    ・Drafting the work or revising it critically for important intellectual content; AND

    ・Final approval of the version to be published; AND

    ・Agreement to be accountable for all aspects of the work in ensuring that questions related to the accuracy or integrity of any part of the work are appropriately investigated and resolved.

    (日本語訳)

    ・研究の構想・デザイン、研究データの取得・解析・解釈に実質的に貢献した。かつ、

    ・論文を執筆した、または重要な知的内容について批評的な推敲を行った。かつ、

    ・出版原稿の最終承認を行った。かつ、

    ・研究のあらゆる部分について、その正確性または公正性に関する疑義が適切に調査され、解決されることを保証し、研究のすべての側面に対して説明責任を負うことに同意した。

    この基準を満たすためには、著者全員が論文を読む必要があります。論文を熟読するには一定の時間がかかりますので、内容が完成した時点で早めに連絡を取り、読んでもらいましょう。

  4. COI(Conflict of Interest:利益相反)の記載

    現在、ほとんどのジャーナルで、論文の透明性・公正性を保つために、COI(Conflict of Interest:利益相反)の記載が求められます。

    COIを記載する目的は、資金の出所や協力者などの関係を明らかにすることで、論文の公正性を担保します。

    COIのわかりやすい例は、研究の資金源や特許、雇用や顧問など金銭的関係にある研究者など金銭が絡んだ関係です。科研費などの国からの研究助成も対象になります。実際に論文に関わるCOIがあるかどうかではなく、客観的に見て少しでも該当しそうなものはすべて書く必要があるので注意しましょう。

  5. データシェアリングの準備

    科学の発展を促進するため、「データシェアリング」(研究データの共有)を推奨する動きが広まっています。共有の対象は、生データ、処理済みデータ、ソフトウェア、アルゴリズム、プロトコル、方法、資料など多岐に渡り、ジャーナルごとに求める条件が異なります。データ共有ポリシーを確認し、共有が必要なデータは適切なデータレポジトリに保存し、DOI、データのURL、または他の永続的識別子などの求められている情報を記載しましょう。

  6. Acknowledgements(謝辞)

    ③で説明した著者の条件にあてはまらない貢献者の名前は、Acknowledgementsに記載します。データやアイデアの提供、解析、論文の査読や議論を行った人などがこれにあたります。プロジェクトに関わった組織や、研究費の出所もこの項目に書きます。

  7. 推薦する査読者の決定

    意外に悩むのが査読者の推薦です。必須ではないので挙げなくても投稿はできますが、大量の論文をさばくエディターにとって、一から探すのは大変な負担です。できれば名前を挙げましょう。

    推薦者を選ぶときの注意点として、COIがある相手を選ぶことはできません。また、投稿するジャーナルのエディターを選ぶこともできません。さらに、知人だからといってジャンルがまったく違う研究者を選ぶこともおすすめできません。査読者にふさわしい正当な理由を書ける相手を選んでください。

    査読してほしくない査読者の名前は、該当者がいなければ空欄でも構いません。もし、明らかに真反対の意見をもつ研究者が存在する場合、査読にバイアスがかかる可能性がありますので、その理由とともに名前を挙げておくとよいでしょう。

投稿時に注意すべきこと

準備が整ったら、いよいよ投稿です。オンラインフォームにログインして投稿を始めましょう。その際、ジャーナルによっては、一定期間内に投稿を済ませないと最初からやり直しになることもあります。あと一歩というところで消えてしまって焦らないように、事前の確認と準備を怠らないようにします。

すべての情報を入力し終わったら、PDFで出力し、レイアウトや細かい間違いがないか何度も確認しましょう。特に、原稿の情報と投稿フォームに新たに入力した情報が一致していないことがよくあります。 

やり直すたびにコレスポンディング・オーサーのもとにメールが届くことを知らずに、気づいたら教授に大量のメールを送りこんでいた…という話も耳にします。投稿作業はコレスポンディング・オーサーと一緒に行うか、これから投稿することを一言知らせてから取りかかるとよいでしょう。

 

以上、オンライン投稿時の注意点を紹介しました。この記事で投稿の流れをイメージできたら、あとは落ちついて、ひとつずつ正確に投稿をしてください。