【初めての論文投稿⑦】タイトルページ・アブストラクト・引用文献

【初めての論文投稿⑦】タイトルページ・アブストラクト・引用文献

ジャーナルによってタイトルの書き方は異なる

論文の本文の執筆が終わったら、いよいよ仕上げにかかります。「タイトルページ」「アブストラクト」「引用文献」など、本文以外にも気を配るべき要素はたくさんあります。以下、それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

まずは「タイトルページ」です。

タイトルは論文の顔であり、そこには「論文でもっとも主張したいこと」が凝縮して表現されている必要があります。タイトルの決定は、一見難しそうな作業に思えますが、本文をしっかりと執筆したならそれほど苦戦することはないはずです。執筆の試行錯誤の過程で言いたいことが明確になっているからです。

一方、本文を執筆し終えてもタイトルが決まらない場合は、本文の主張もぶれている可能性があります。もう一度全体を見直したほうがよいかもしれません。

また、タイトルを考える前に、文字数などジャーナルの投稿規定をよく確認しておきましょう。それぞれのジャーナルには個別のレギュレーションが存在します。例えば、ジャーナルによってタイトルの書き方に対する注意事項が明記されているケースもあります。「記述的なタイトルは不可」と書いている雑誌に提出する場合は、「薬Aが病気Bの発症を抑制した」と書くのではなく、「病気Bの患者群に対する薬Aの無作為化比較試験」のように書かなくてはいけません。盛り込まなくてはいけない要件が指定されている場合もあるので注意が必要です。

「タイトルページ」には、ほかにも記載すべきことが複数あります。ランニングタイトル、著者名、所属、corresponding author(連絡著者)の名前と連絡先、利益相反(COI)についての記載、総単語数、図表の数などです。

これについてもジャーナルごとに条件が違うため、投稿規定をよく読んで漏れのないようにしましょう。

アブストラクトは本文の後に

アブストラクトは論文を代表する文章です。本文や図表の説明文をそのまま流用してはいけません。論文を読むかどうかの判断材料にされるため、しっかり時間をかけて仕上げていきましょう。

アブストラクトの役割は、論文の主張をわかりやすくまとめて提示することです。なぜこの研究テーマに着目したのか、どうしてこのような実験をしたのかなどをまとめていきます。

これは本文を書き終えたあとに取りかかることをおすすめします。理由は二つあり、第一に本文の内容に沿って書く必要があるため。第二に、本文執筆の試行錯誤を経た後のほうが論文のストーリーがクリアになっていることが多いためです。

なお、複数の結果がある場合、あれもこれもアブストラクトに書いてしまっては、結局何が言いたいのか伝わらなくなってしまいます。結論がはっきりしていることは重要です。どの結果を紹介するか、可能な限り取捨選択をしましょう。

さらに、今後の見通しやどのように役に立つかを書く場合もあります。これらのConclusionやImplicationをアブストラクトに必ず書くことを指定している雑誌もありますので、ここでも投稿規定の熟読を徹底してください。

文献の選択と引用について

文献を引用するときは、多くの人に読まれていて信頼性の高い論文を選びます。網羅的に研究の背景が載っているレビュー文献は自習には便利ですが、引用には向きません。引用するときは、レビュー論文ではなく、レビューの中で触れられている生データが記載された原著論文を引用するようにしましょう。

また、ジャーナルによっては、引用文献の最大数が決まっている場合があります。規定数を大幅に超えてしまうと、本文も修正する必要が出てきて、非常に手間がかかります。参考文献のリストを作成する際にも、投稿規定はよく読んでおきましょう。

このほか、近年の話題として注意しておきたいのが、Unpublished Data(研究室の未発表データ)の取り扱いです。データシェアリング(データの開示)が重要視されてきている昨今、Unpublished Dataの引用は認めないというジャーナルや、引用するために許可証の提出を求めるジャーナルも出てきています。

引用文献のリスト化は文献管理ソフトを使って効率的に

論文に記載する引用文献の数は膨大です。加えて、予定していた文献を外したり入れ替えたりするたびに、ナンバリングを振りなおす作業が発生します。この作業は投稿後にも発生するので、ぜひ念頭に入れておいてください。レビュワーから文献を引用するように言われたり、アクセプト後にも変更することがあるからです。また、リジェクトされた場合は、新たに投稿する雑誌用に形式を変えなくてはいけません。

こうした変更を手作業で行うのはミスの原因となるため、文献管理ソフトの活用をおすすめします。ストックの管理が楽になるだけでなく、ナンバリングや並び替え、ジャーナルに合わせたスタイルの変更も自動で行えるため、論文執筆の際に役に立ちます。なかでもEndNoteが有名ですが、ほかにも無料のものや有料のものなど多数のソフトがあるので、自分に合ったものを選んでください。

また、文献リストのスタイルはジャーナルのウェブサイトからダウンロードできる場合があります。まずはフォーマットが用意されているかどうかサイトをチェックしておきましょう。

最後の仕上げとネイティブチェック

論文を仕上げたら数値などの間違いがないかの確認をし、指導教員や共著者に読んでもらいます。論文を投稿するスケジュールがタイトな場合は、全員のチェックが終わり、それをふまえて訂正する時間をあらかじめ計算に入れておきましょう。

もし著者の中にネイティブがいない場合は、別途、ネイティブの校正者に確認を依頼することをおすすめします。英語に自信がない人が論文の質を上げるために必要な工程ですが、英語に自信がある人でも、英語文化の中で育ったネイティブの視点から読んでもらうことで、思わぬ気づきがあるでしょう。

以上、本文以外のテキスト部分「タイトルページ」「アブストラクト」「引用文献」の執筆について注意すべきポイントを紹介しました。投稿規定に書かれていることをよく読んで慎重に投稿の準備を進めていきましょう。