学会で成功するプレゼンのコツ〜ポスター発表と口頭発表の極意
学会で上手く発表できるかどうかは準備次第
いくらデータが大量にあっても、その意味や面白さを限られた時間で伝えないと興味を持ってもらえないのが学会発表です。
例えばポスター発表は、壇上で行う口頭発表よりも一見敷居が低く感じられますが、足を止めてもらわないと研究内容を伝えることができません。せっかくデータを集め、整理し、ポスターを作成したのに、ほとんど誰にも話しかけられることなく学会が終わってしまうこともあるのです。また、口頭発表は多くの人に自分の研究をアピールできるチャンスでもありますが、限られた時間でメッセージを伝えるためには何度も場数を踏む必要があります。
どちらの発表にも言えることは、事前の準備が大切ということです。ろくに準備もせずにぎりぎりに仕上げて学会に駆け込むのでは、参加する意義は半減してしまいます。この記事では複数の研究者への取材をもとに、一歩先を行くプレゼンの方法のコツを、ポスターやスライドの作り方から伝授します。初めての学会発表で不安な人や、何度か発表しているけれどイマイチ反応が得られないという人たちは、ぜひ参考にしてみてください。
有意義な発表時間にするポスターの作り方と説明術
ポスター発表では、ディスカッションの中から思わぬアイデアやアドバイスがもらえたり、新たな人脈が広がったりします。また、自分の研究が多くの人の関心を集めることがわかれば、今後のモチベーションも格段にアップします。
ポスター発表を有意義な時間にするために、次の2点に注意しましょう。
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載せる図は厳選し、1つの図には必ず1つのメッセージをこめる
ポスター作成において最も重要なのは、「研究のメッセージ」です。今回の発表で何を伝えたいのかをよく考えて決めてください。あれもこれもとせっかく実験してきたことを全て載せたいという気持ちが湧いてきても、メッセージが薄れたり横道に逸れたりしてしまうものは思い切って削る。シンプルに1つの図に1つのメッセージをこめましょう。
載せる図を選んだら、それを見ながらスムーズに説明できるかどうか確かめましょう。流れが悪ければ、もう一度選び直します。流れのよいポスターは、発表原稿を用意しなくても、すらすら説明の言葉が出てきます。何度も試行錯誤してみてください。
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口頭での説明は長いバージョンと短いバージョンの2種類を考えておく
ポスターに対する反応は人によって様々です。ひとりで読んで納得して去っていく人もいれば、読む前に内容を簡単に説明してほしいという人もいます。また数人に取り囲まれた場合は、全員に向けた詳しい説明をプレゼンすることもあるでしょう。
何が起こるかわからないのがポスター発表です。が、備えあれば憂いなし。あらかじめ、15分程度のきちんとした説明と、5分で終わる短い説明の2種類を考えておき、練習しておくことをおすすめします。どんな場合でも対応できるという安心感が余裕を生み、限られた時間を有効に使うことができます。
もう誰も眠らせない!口頭発表のスライドの作り方と極意
口頭発表を聞いていて、ほれぼれするほど上手いプレゼンに出会ったことはありませんか? そんなときあなたは身を乗り出すように研究の内容を追いかけたことでしょう。学会の口頭発表は、研究者としてキャリアを積んでいくためには避けては通れない道です。でも、自分にはそんな発表はできない…と尻込みしている人に、先輩研究者のこんな言葉を紹介しましょう。
「プレゼンは練習あるのみです。僕はもともとキーワード中心でプレゼンをしていましたが、もう一歩上のプレゼンができないかと考えて、一字一句原稿を書いて何度も練習する方法に落ち着きました。聞いている人が、原稿があることを感じないくらいナチュラルに話せるようになるまで練習します。途中で挟むジョークも、もちろん原稿通りです」
最初からスラスラとプレゼンできる人はいません。何度も練習するのは大変ですが、逆に言えば、何度も練習すれば本番は堂々と話せるのです。それでは、口頭発表の注意点を紹介します。
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メッセージが伝わるシンプルなスライドを作る
口頭発表では1つ1つのスライドが映し出される時間が短いため、じっくり読むことはできません。パッと見た瞬間に伝えたいことが頭に入るよう、シンプルに仕上げることが重要です。取材の結果、説明は1スライド1分以内で話せる量を目安にしている人が多かったです。また、口頭での説明とスライドの内容に食い違いがあると、見る人の理解を妨げてしまいます。初めて研究の内容を聞く人が直感的に理解しやすいスライドを目指しましょう。
・1スライドにつき、1メッセージもしくは1コンセプト。
・1スライド1分を目安に、制限時間内でおさまる分量を作る。
・スライドにはだらだら文章を書かず、キーワードを書く。
・スライドタイトルにはそのスライドの結論をつける。
・発表で触れないデータはスライドに入れない。
・読みやすいフォントを選ぶ。会場のサイズによって適切な大きさのサイズにする。
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聞く人の気持ちになって推敲する
自分のペースで読むことができる論文やポスターと違って、口頭発表で一度つまづくとその先の話が頭に入りにくくなってしまいます。また学会にどんなジャンルの研究者が来るのかによって、何をどこまで説明する必要があるのかも変わってきます。下記の大原則を踏まえたうえで、違う研究室の人にプレゼンを聞いてもらい、伝わるかどうかを確かめましょう。
・全体的の流れを意識し、発表にストーリー性を持たせる。
・どの順番にResultsを並べるのが最も聴衆の興味を引くかを考える。
・「まとめ」に今までに出てきたことのない結果を書くのはNG。
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発表中の注意点
他にもプレゼン中に気をつけることとしてこんな意見がありました。
・ポインタで指し示すときは、しっかり握って一点に固定する。(ブレブレだと酔います)
・通る声で堂々と。(練習あるのみ)
・質問を受けるときは、相手の質問の意図をしっかり確かめてから答える。(慌てない)
以上、学会発表のコツを紹介しました。今回紹介した内容は、日本語のプレゼンはもちろん、英語のプレゼンでも通用する内容です。英語が苦手な人は、事前に原稿を書いて何度も練習をすれば当日は自信をもって発表できます。繰り返しになりますが、備えあれば憂いなし。発表を無事終えたら、すっきりした気分でご当地グルメを楽しみましょう!
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