雑誌編集者の心を動かす!投稿論文のカバーレターの書き方

雑誌編集者の心を動かす!投稿論文のカバーレターの書き方

早く知っておくほど得をするカバーレターの書き方

来る日も来る日も実験をし続けて、ようやく論文を書けるデータが集まったのに、その喜びをかみしめる間もなく、今度は慣れない英語論文の執筆に悩まされる……それが研究の道を歩む人の宿命です。

論文を書きあげてもまだ苦難の道は続きます。投稿という最後の関門が待ち構えているからです。Figureも用意したし、本文も執筆し終わった。それなのに投稿規定を読んだら「Cover Letter」を用意しろと書いてある。何を書けばいいのだろうと、初めて投稿するときに焦った人もいるのではないでしょうか。でも、すぐに、自分は書かなくていいと知ってほっとしたはずです。研究を始めたばかりの院生がカバーレターを自分で書くことは、普通はありません。多くの場合、PI (Principle Investigator)が書くからです。PIとは教授や准教授のような研究グループの統括者のことで、発表論文の責任者です。

しかし、研究を続けていけば、いずれはカバーレターを書く立場になります。そのときになってから慌てて準備をするよりも、早いうちに書き方を知っておけば、研究を行っていく上でも視野が格段に広がります。この記事では、カバーレターの目的と書き方について解説しています。今すぐ必要な人も、今はまだ必要ない人も研究生活にお役立てください。

カバーレターの書き方の基本

編集者はカバーレターを読んで、その論文が雑誌掲載にふさわしい内容かどうかを判断します。カバーレターの出来で査読者に回される確率も変わります。

以下に、基本的なカバーレターの構成を紹介しています。ただし、必要記載事項や長さなどは雑誌によって違うため、まずは雑誌の投稿要件を確認しましょう。また、編集者は雑誌の読者が増えるかどうかという観点でも判断しているため、雑誌の特性に合わせたアピールが必要になります。投稿先の雑誌の性格をしっかり研究しましょう。

<カバーレターの書き方の例>

  1. 最初に雑誌の編集長の名前、雑誌名、投稿日の日付を書きます。誤字や書き間違いのないように注意しましょう。
  2. Dear Dr.【編集者の名字】
    編集者の名前がわからない場合はDear Editor-in-Chief やDear Editorsのように書くこともあります。
  3. カバーレターの目的を記します。すなわち「この論文を雑誌に載せてもらえるかどうか検討してほしい」というメッセージです。当然ですが、論文のタイトルと雑誌名は正確に記しましょう。
  4. 研究の概要を説明します。背景や方法、結果や結論などを簡潔に明記します。この論文が雑誌に掲載するに値する価値があることを伝えます。そのためには以下のポイントに気をつけましょう。
    ・自分の研究の新規性や重要性をためらわずアピールする
    ・回りくどい表現を避け、できるだけ直接的な言い方をする
    ・過去の研究ではここまで分かってて、どこがわかっていないかということを明確に伝わるように書く
    Abstractとは違って、カバーレターでは、雑誌の目的や狙いに沿っていることを説明し、掲載に相応しい論文であることを主張しなくてはいけません。雑誌の読者層に幅広く受け入れられるトピックであることを、売り込みましょう。また総合誌の場合は専門外の人が読んでもわかるように書きましょう。
  5. 査読者の提案をします。何人まで提案できるかは雑誌によって変わってくるので、投稿規定を確認しましょう。選んだ理由も簡潔に、かつ明確に書いておきましょう。多くの分野にまたがる論文の場合は各分野の専門家を指定します。
  6. 最後に自分の名前・所属機関・連絡先を記します。

一般的なカバーレターのイメージ

海外留学経験者が語るカバーレターのポイント

カバーレターの書き方は「これが正解!」というものはなく、多くの研究者が試行錯誤をしています。特に英語がネイティブではない日本人研究者は、苦労することが多いようです。海外留学中にネイティブのカバーレターに触れる機会の多かった若手研究者に取材したところ、次のようなアドバイスをもらいました。以下に箇条書きで示します。

  • できればレターサイズ1ページにおさめること。字数が限られているので、回りくどい表現を避け、できるだけ直接的な言い方をする。
  • 総合誌に投稿するときは、自分の研究対象が広く生物界に普遍的に存在していることや、疾患の治療応用の可能性についても書く。
  • 自分の研究の新規性や重要性をためらわずアピールし、とにかく自分の論文を褒めること。恥ずかしがらず、かつ「嘘をつかずに」表現することが大事。
  • 日本人は謙虚な人が多いが、アピール上手な海外の研究者と競争していかなければならないことを意識して書く。
  • 過去に同じ研究室から出ている論文を挙げ、「こういう論文がこの雑誌に出ているので、それと同等、もしくはそれ以上の価値が私の論文にはありますよ」と書くなど、さまざまな角度からアピールする。

アピールの方法は人によってさまざま。「個性的であるべき」であり、また「遠慮していてはダメ」なようです。カバーレターを自分で書く日はまだ先だとしても、自分の研究の意義やすばらしさを、どのように人に伝えればよいか、先のアドバイスを踏まえて考えておくといいでしょう。