マルチプレックスビーズベース解析とxMAP®テクノロジー

マルチプレックスビーズベース解析とxMAP®テクノロジー

マルチプレックス解析とは

マルチプレックス解析は、その名称が示す通り、1回のアッセイで複数の分析対象を試験する技術です。マルチプレックス検出では、バイオマーカーのスクリーニングやタンパク質の解析に関するテクノロジーによって、細胞、組織、生命体の機能に関わる複数の細胞間または細胞内タンパク質(総量またはリン酸化型標的)の発現を同時に調査することができます。

創薬やタンパク質研究において急速に拡大しつつある知識基盤により、研究者はタンパク質やシグナル経路を生物学的状態と関連付けるため、システムレベルのデータセットを迅速に手に入れて解析するよう迫られています。ELISAやウェスタンブロットなどの従来の「シングルプレックス(分析対象が1つ)」なタンパク質検出方法からは、このような情報を得ることは難しく、非実用的であり、しかも高い費用がかかります。

マルチプレックス解析では、単一の複雑かつ不均一なサンプルから、多数の分析対象を検出・測定できるため、特に血清、脳脊髄液、腺性分泌物、その他の生理学的サンプルの分析に有用であることが実証されています。

xMAP®テクノロジーを用いた解析

マルチプレックスタンパク質検出では、サンドイッチ免疫アッセイの様式で抗体を抗原に提示することが多く、抗体は「平面アレイ」としてチップ上に固定するか、「サスペンションアレイ」としてマイクロビーズに接合して用いられます。 ここで用いられる万能かつ非常に感度の高い浮遊ビーズアレイは、Luminex社によって開発されたxMAPテクノロジーに基づいたものです。(図1)

このシステムは、xMAPマイクロビーズ、Luminex分析装置、解析ソフトウェアの3つのテクノロジーを組み合わせたものです。マイクロビーズは、最大で100種類の色を作製するため、2種類の赤色蛍光色素を用いて様々な濃度で染色されています。これによって、アッセイの各マイクロビーズには色素濃度に基づく「スペクトルアドレス」があり、これをLuminex分析装置を用いて読み取り、特定することができます。

これらのマイクロビーズは、サンプル中の標的「分析対象」に特異的に結合する捕捉抗体でコーティングされています。レポーターに結合した2つ目の抗体を加えると、測定のための「サンドイッチ」ELISAが完成します(図2)。

図1 xMAPテクノロジー:各サンプル/ウェルにつき最大100種類の分析対象を定量

図2 Luminex xMAPビーズベース免疫学的検出法の原理

xMAPによる解析で用いられる分析装置

マルチプレックスビーズベースアッセイの実施には、2種類のLuminex分析装置が利用可能です。Luminex 200™およびFLEXMAP 3D™システムはフローサイトメトリーに基づく装置で、レーザー、光学機構、先端的な流体工学、高速デジタルシグナルプロセッサが統合されています(図3 左部分のA)。MAGPIX®装置は、CCDに基づくシステムで、磁気ビーズによって可能となったスピードや効率を、xMAPの捕捉・検出力と統合したものです(図3 右部分のB)。

図3 xMAPテクノロジーを用いたマルチプレックスビーズベース免疫アッセイによるデータの取り込みには、フローサイトメトリーに基づくもの(A)またはCCD画像に基づくもの(B)の2種類のLuminex装置が利用可能

マルチプレックスビーズベースアッセイから得られるデータ

マルチプレックスビーズベースアッセイによる測定では、存在する分析対象を特定するための「ビーズマップ」と、分析対象の濃度を判定するためのパネルの標準曲線が得られます。個々のビーズに対して分類とレポーター測定の両方が同時に行われるため、単一で少量のサンプルから正確なマルチプレックスアッセイデータを入手することができます。これが、従来のELISAとは大きく異なる点です。

また、マルチプレックスなバイオマーカーアッセイのデータ解析では、多様なサンプルやアナライトタイプの取り扱いが困難な場合があります。多様であるために分析対象の存在量や、それに関連したアッセイのシグナル強度が広範囲にわたる可能性がある上、それら全てを正確に予測または測定することは簡単なことではありません。

一方、MILLIPLEX® Analyst 5.1ソフトウェアは、検量線の両端から得たデータに注目し、最適で定量的なアナライトデータを生成する設計となっています。これらの領域のデータは重要ではありますが、既存のマルチプレックスデータ解析パッケージでは見逃されてしまうことが多くなっていました。MILLIPLEX Analyst 5.1ソフトウェア用の新しい曲線近似アルゴリズム開発では、曲線の両末端でCV値が最も低くなり、質の低い標準曲線でも良好に機能する曲線近似を判定するため、実測値に基づく標準曲線を用いた600以上のデータセットに対してシミュレーションが実施されています。

図4 マトリックス中のヒトサイトカイン/ケモカインに対する39 plexの磁気ビーズを用いた標準曲線

以上、xMAPテクノロジーを用いたマルチプレックス解析について解説しました。マルチプレックス解析は、少ないサンプル量と少ない労力で多くの情報を引き出すことができる手法です。得られるサンプルが限られる場合や、総合的に様々な情報が必要な場合には検討してみるとよいでしょう。