徹底検証!蒸留水とElix水の水質の違いと原因
RO膜と連続イオン交換によって精製されるElix水
RO膜と連続イオン交換によって精製されるElix水と、従来からよく使われている蒸留水は、分類上は同じ純水です。しかし、一口に純水といっても精製法によって純度や性質は大きく異なります。Elix水って何? 蒸留水と何が違うの? という人のために、この記事では蒸留水とElix水の水質の違いをいくつかの実験で徹底検証します。
まずは、タンクに1日貯留された蒸留水とElix水の水質を比較します。なぜタンクの中の純水を比べるのかというと、これが通常の実験で用いる条件に近いからです。純水の製造装置は1時間に数Lという速さでしか純水を製造できず、それでは実験に使えません。そのため、実験をしていないときも製造し、タンクに溜めておく必要があるのです。
水質の評価は、 無機物量が多いほど小さな値になる比抵抗値と有機物量が多いほど大きな値になるTOCの値で行いました。
2つの純水の違いは、この表を見れば一目瞭然。Elix水はタンクに1日貯留された蒸留水より、無機物量が約3倍少なく、有機物量も約1.8倍少ないことがわかります。
なぜ蒸留水では不純物が多くなってしまうのでしょうか。蒸留水の有機物量が多くなる原因のひとつとして考えられるのが、タンク内の微生物発生です。次にお見せする図は蒸留器からの累積採水量と生菌数を調べたグラフです。これは冬季に測定した結果ですが、夏になってタンク内水温が高くなるとさらに急増すると考えられます。
一方、装置と貯水タンクの両方にUVランプが設置されているElix水のタンクでは、2.7±3.8 cfu/mL にまで生菌数を低減できていました。UVランプが生菌数の低減に有効であることが再確認されました。貯水タンクについては、Elix装置では3層エアベントフィルターが貯水タンクについて貯水時の水質劣化を最小限に抑えていますが、一般的な蒸留器の貯水タンクには簡易フィルターがついているだけで、この状態で貯水しても、タンクにたまっている間に純水が外気の汚染を受けて水質が劣化してしまうのです。
以上の結果より、蒸留水とElix 水はどちらも純水に分類されますが、水質に大きな差があることがわかりました。正確な実験結果を出すためには、有機物・無機イオン・微生物に万全の対策が採られている装置を選択するのが重要です。実験室の装置がどのようなタイプの装置なのか、この機会にしっかりと確認しててください。もし十分な水質を得られていない疑いが生まれた場合はボトル入りの純水を購入して実験結果を比較してみるのもひとつの方法かもしれませんね。
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