水にも種類がある!純水・脱イオン水・蒸留水・精製水の違いを学ぼう

水にも種類がある!純水・脱イオン水・蒸留水・精製水の違いを学ぼう

※2018年6月14日の記事を加筆・編集しました。

実験で使われる水の種類

皆さんが日頃実験や研究に使用している水にも、飲料水と同様に種類があることをご存知でしょうか?一口に実験で使う水といっても、純水・イオン交換水・超純水・RO水・蒸留水とさまざまな種類があります。実験で使う水を意識して使い分けている方もいれば、水の種類は意識せず近くにあるものを使っているという方もいると思います。実は水の種類には、実験に向いているものと不向きなものが存在します。

まず、もっとも大きな分類として、純水と超純水について説明します。以下が純水と超純水の定義です。

  • 純水:純水とは、水道水に不純物除去の何らかの処理を施した水のことです。
    精製方法:指定なし。
  • 超純水:超純水とは、純水をさらに精製し、比抵抗が18MΩ・cm以上の水を指します。
    精製方法:逆浸透膜、イオン交換樹脂、活性炭、紫外線、限外ろ過膜などを組合せて精製。

純水には精製方法に指定はなく、水道水に何らかの処理をすれば純水と呼ばれます。極端にいうと、みなさんが小学生の頃に行った理科実験で、ろ紙を使ってろ過した水も純水の一種です。

このように、純水の定義は広く、精製方法によってさまざまな種類の純水があります。一方で、超純水には明確な基準があります。

「精製」とは、水道水に含まれている不純物を取り除く工程を指します。不純物を大きく分けると、無機物・有機物・微粒子・微生物に分類されます。水道水・純水・超純水をそれぞれ50mプールに満たした場合、不純物はいったいどれくらいの量含まれているでしょうか?

  • 50mプールを「水道水」で満たした場合:不純物はドラム缶2本分
  • 50mプールを「純水」で満たした場合:不純物はコップ1杯分
  • 50mプールを「超純水」で満たした場合:不純物はスプーン1杯分

超純水や純水の製造装置の内部では、ドラム缶2本分の不純物をスプーン一杯分やコップ一杯分に減らすための精製を行っています。つまり、この精製こそが純水や超純水を作るためのキモになるのです。ここで、その精製の違いによる純水の種類を説明します。

  • 精製水:精製水とは、前述の"純水"と同じ意味で使われる場合と、日本薬局方で定められた精製水を意味することがあります。
  • 蒸留水:蒸留水とは、蒸留器によって精製された水のことです。
    精製方法:水と不純物の沸点の違いを利用
  • RO水:RO水とは、RO膜(逆浸透膜)によって精製された水のことです。
    精製方法:RO膜により、不純物を大きさによって分離
  • イオン交換水:イオン交換水とは、イオン交換によって精製された水のことです。脱イオン水ともいわれています。
    精製方法:イオン交換樹脂により、不純物を除去
  • Elix水:Elix水とは、RO膜とEDI連続イオン交換の組み合わせで精製された水のことです。
    精製方法:RO膜による大きさによる分離に加え、EDI連続イオン交換により電気の力でイオンを除去

純水・脱イオン水・蒸留水・精製水の違い

水道水から不純物を除去した水を純水(精製水)と呼び、純水にはイオン交換水(脱イオン水) や蒸留水やElix水などがあります。精製方法の違いによって水質に違いがあり、名称が異なります。詳しく見ていきましょう。「精製方法は違っても純水は純水なのでは」と思われるかもしれませんが、精製方法の違いは純水の水質の違いにつながります。精製方法によって除去できる不純物が異なるため、最終的に得られる純水の水質も異なるのです。下図は各精製方法で得られる水を無機物・有機物の量で位置づけしたものです。

(図の出典元: https://www.merckmillipore.com/JP/ja/lw/learning/definitions/fiab.qB.4H0AAAFIIE4Xcz5o,nav</a >)
※横軸の比抵抗(導電率)と縦軸のTOCは超純水・純水の水質評価指標です。

横軸の比抵抗(導電率)は電気の通りにくさを示しており、右に行くほど水中のイオンが少ないことを示しています。縦軸のTOCは有機物量を示し、数字が1に近いほど有機物量が少ないことになります。

この図から、純水がかなり広い意味を持つ言葉だということがおわかりいただけるかと思います。同じ純水であっても、超純水に寄っているものや水道水に近いものなど、水質に違いがあります。例えばイオン交換水は、イオンは除去されているものの、有機物の量は水道水とほぼ同等です。なので、有機物を扱う実験では、有機物が除去されていないイオン交換水を使用すると実験に影響がでる可能性があるのです。

飲料水は種類によって味が違う?

ここまで、実験で使われる水の種類について説明してきました。ここからは、飲料水ではどのような違いがあるのかを見ていきます。

突然ですが、水には味があると思いますか?軟水、硬水、天然水、ミネラルウォーター、海洋深層水など、コンビニエンスストアに行けば、複数の種類の水が販売されています。ちょっとお高い輸入食品店であれば10種類以上の水を取り揃えていることもあります。また、田舎や山頂で飲む水はおいしく、海外で飲む水は苦く感じ、水道水はおいしくないといった経験があるかと思います。実は、水の味を感じるのはH2O以外の成分によるものなのです。

下記の表は、おいしい水研究会</a >が示したおいしい水の要件です。

水質残留物 数値
蒸発残留物 30~200mg/L
硬度 10~100mg/L
遊離炭酸 3~30mg/L
過マンガン酸カリウム消費量 3mg/L以下
臭気強度 3以下
残留塩素 0.4mg/L以下
水温 最高20℃以下

※東京都水道局ウェブサイトより抜粋

一般的に、ミネラル(カルシウム・マグネシウムなど)などが適量含まれていると「おいしい」と感じ、残留塩素などが大量に含まれると「まずい」と感じるようです。人によっては、「天然水が好き」「ダイエットのために硬水を飲む」というように水の種類を意識して選ぶことがあると思います。下記は代表的な水の種類です。水質や処理方法、採水場所によって多くの種類があります。また、国によっても細かく分類されています。

  • 軟水:硬度100 mg/L未満の水
  • 硬水:硬度100 mg/L以上の水
  • 天然水:自然の源水かつろ過、沈殿、加熱殺菌のみの加工を行った水
  • ミネラルウォーター:地下水を原水とする水
  • 海洋深層水:水深200 m以深の海水を処理した水

何気なく実験で使用している水の種類を気にしない方も多いかと思います。実験で使用する水にも飲み水と同じように種類があり、水質が異なります。水の種類を気にしてみるだけで、実験の質が変わるかも知れません。これを機会に、使用している水の種類を一度確認してみてはいかがでしょうか?

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