失敗しない研究室の選び方

失敗しない研究室の選び方

研究室選びのために必要な3つのこと

いったん所属すれば、毎日通って長時間過ごすことになる研究室。その選択が、将来の進路を左右することもあります。人生の大事な局面で後悔しないためには、いったい何に気をつければよいのでしょうか。複数の研究者への取材を通し、3つの重要なポイントが見えてきました。

  1. 研究内容だけでなく研究スタイルまで見極める

    ウェブサイトに書かれている文章や論文を読んで、研究内容が自分の興味と合うかどうかを検討することは誰もが行っていると思います。でも、研究内容だけを見るのではなく、研究室の「研究スタイル」にも注目して調べみることが重要だと、研究者の先輩たちは指摘します。

    スタイルの違いは、ラボから出た論文を読んでいればある程度わかります。たとえば、次のような違いです。複数の共同研究者と大型プロジェクトを進めていくのか、ラボ内だけで行っていくのか。ロジック先行型か、仮説先行型か。ストーリーを考えてから実験するのか、片っ端からスクリーニングした結果をもとに考えていくのか、など。

    ボスの考え方やメンバーの数、分野などによって、研究のアプローチは異なってきます。これにより、学べることや、得られる経験も変わってくるでしょう。自分の研究の取り組み方ややりたいこととの相性を考え、研究スタイルにも着目して探していけば、より納得のいくラボに出会えるはずです。

  2. ボスとの相性を知るため、ラボの他のメンバーと話す

    よい仕事を実現するためには、ボスとの相性は大切です。とりわけ、学部生が研究室を選ぶときは、是非とも考慮しておきたい項目のひとつと言っていいでしょう。

    例えば、「自由度が高い放任主義のボス」と「どんどん議論を重ねて次々と成果を求めるボス」。自由度が高い場合、のびのびとした研究が成果につながる人がいる一方、どうしていいのかわからずに行き詰ってしまう人もいるかもしれません。強く成果が求められる場合、プレッシャーに打ち勝ち力を発揮する人もいれば、折れてしまう人もいます。自分の性格を知り、どのような環境で力を発揮できるのかを考えて、研究室を選ぶことも必要ですね。

    ボスとの相性を知るには、まず直接会って話してみることが重要ですが、限られた面接時間ではわからないことも多々あります。そんなときにおすすめなのが、研究室に所属している学生や研究員の話を聞くことです。複数の意見を聞くことで、面接時には見えなかった一面がわかるかもしれません。また、ラボの雰囲気もそこである程度は感じとることができるでしょう。

  3. ラボから出た論文はインパクトファクターだけでなく頻度にも注目する

    「Nature」、「Cell」、「Science」などのトップジャーナルの論文を多く出している研究室は魅力的です。ですが、その頻度が5年に1回のようなペースだったり、その間にマイナーな論文がまったく出ていなかったりする場合は、注意する必要があるかもしれません。トップジャーナルに掲載できる成果が出るまで論文を書かないというスタイルを取っている研究室に所属してしまうと、自分のファーストオーサーの論文をなかなか書くことができず、博士号取得や次の進路を選ぶことが難しくなるからです。

    学生がファーストオーサーになっている論文がどのくらい出ているかは、研究室を検討するときのひとつの判断基準になるでしょう。とはいえ、研究は運の要素も強く、一定水準以上の研究をしているのに運がないせいで論文が出せないことはいくらでもあります。その研究室がいつから運営されているのか、研究室立ち上げ以前はどのようなことをしていたのか、出ている論文は論理やデータがしっかりしているかなど、総合的な視点で判断してくことも重要ですね。

積極的な姿勢とポジティブ精神が失敗を成功に変える

この記事で紹介したことをすべて実践しても、絶対に失敗しないとは言い切れません。ですが、そのときは失敗だと感じても、気持ちを切り替えたり取り組み方を変えてうまくいったというケースはたくさんあります。例えば、取材では、第一希望の研究室に落ちてしまったときは落ち込んだが、今振り返ってみると情熱を注げるテーマに出会えたのは第二希望の研究室に行ったおかげだったという人もいました。また、学生時代は全く成果が出ずに失敗続きだったけれど、そこで様々な試行錯誤をして実験の腕を磨いたおかげで、留学先で実験に関しては一目置かれる存在になったという人もいます。

失敗しないためには、選び方だけでなく、所属したあとの姿勢も重要です。受け身で研究を行うのではなく、積極的にボスや研究メンバーとディスカッションをすることが、「成功」率を高めます。また、実験がうまくいかなくても、なぜ失敗したのかをきっちりと追及することで、ネガティブ・データとして積み重ねていくことができます。

もし、失敗だと思ったら、ラボを変えるか、仕事を変えるか、次なる手段を考えればよいのです。海外にポスドクに行ったある研究者は、もし失敗したら日本に逃げて帰り、実家にしばらく住まわせてもらおうと考えていたそうです。そんな柔軟な考え方も、失敗しないコツのひとつかもしれません。

また、将来やりたい研究や職業が明確にある場合は、その可能性を狭めない研究室へ行くことが重要です。OB・OGや詳しい事情を知っていそうな人、先生方へに話を聞いてみることをおすすめします。場合によっては、入学する大学・大学院自体も選ぶ必要があったりします。

研究室選びは、自分のキャリアやスタイルを見つめ、視野を広げる良い機会です。「何となく」選ぶのではなく、リサーチをし、足を運び、自分が納得のいく研究室選びに挑戦してみてくださいね。