RNAi実験の基礎 shRNA導入細胞を選択する抗生物質濃度の最適化
高すぎず低すぎない抗生物質の最適濃度を決定しよう
RNAi法でshRNAベクターを細胞に導入した後は、抗生物質でshRNAが導入された細胞をセレクションする必要があります。初めて使用する細胞などでは適切な抗生物質濃度がわかりません。濃度が高すぎるとターゲットの細胞にもストレスがかかってしまい、低すぎると目的の細胞以外も生き残ってしまいます。そのため、細胞ストレスを低減するためには、できる限り低濃度で効率の高い抗生物質濃度を決定する必要があります。本実験前にはタイトレーションによる検討を行いましょう。 この記事では、shRNA レンチウイルスによるノックダウンで紹介したMISSION® shRNAベクターを例にとり、ピューロマイシン濃度の最適化プロトコールを紹介します。MISSION® shRNAベクターにはピューロマイシン耐性遺伝子が組み込まれているため、shRNAが導入された細胞をピューロマイシンでセレクションすることができます。多くの場合、shRNAベクターが導入されていない細胞は1 ~10 μg/mLの濃度で死滅しますが、ピューロマイシンの最適な濃度は使用する細胞によって異なります。
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<必要な試薬と機器>
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DMEM+10% FCS など各々の細胞に適した培地
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培養用インキュベーター
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6ウェルプレート
<プロトコール>
前日 プレートの各ウェルへ、24時間後に細胞密度が50%コンフルエントになるよう細胞を播種し(例 2 x 105 cell/well)、一晩インキュベートする。 1日目
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培地を37℃に温めておく。
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ピューロマイシンの希釈系列を、培地を用いて調製します。 (例)それぞれ0、1.0、2.5、5.0、7.5、10.0 μg/mLの濃度になるようにピューロマイシンを培地に添加する
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前日から培養している細胞の培地を上記で用意したピューロマイシンを含む培地(選択培地)に交換する。
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それぞれのウェルの生細胞数を測定しする。
3~10日目 2日毎に選択培地に交換し、死細胞を除去する。また、2日毎に生細胞数を測定する。 10日目 細胞の死滅曲線を描き、選択培地で培養した7~10日の間に細胞が100%死滅したピューロマイシン濃度を調べる。
<実験のコツ>
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ピューロマイシン溶液の凍結融解は最小限にとどめ、選択培地は用事調製する。
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10 μg/mL 以上のピューロマイシン濃度が必要であった場合、ピューロマイシンの使用期限を確認すること。
<参考:各細胞に対するピューロマイシン濃度の使用例>
HeLa細胞: 3 μg/mL
HEK293細胞: 3 μg/mL
B16細胞: 1-3 μg/mL
PC1.0細胞: 10 μg/mL
A431細胞: 1 μg/mL
Jurkat細胞: 4 μg/mL
以上、 shRNAベクターをセレクションするときの抗生物質濃度の最適化プロトコールを、ピューロマイシンを例にとって紹介しました。実験を成功させるためには、抗生物質濃度以外の条件にも気を配ることが重要です。気づいたことはなるべく実験ノートに書き留めておくと、再現性が高くなり、実験の成功率がアップするでしょう。
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