RNAi実験の基礎 shRNA レンチウイルスによるノックダウン

RNAi実験の基礎 shRNA レンチウイルスによるノックダウン

shRNAならより長期的に遺伝子をノックダウンできる

RNAiによる遺伝子ノックダウンは遺伝子の機能を解析する強力なツールのひとつです。RNAiによるノックダウンを行う方法として、特定の遺伝子をターゲットにして作成した短鎖干渉RNA(siRNA)や短鎖ヘアピンRNA(shRNA)を細胞内に導入する方法があります。 shRNA はベクターによって細胞に導入され、トランスフェクションが困難な細胞や非分裂細胞での RNAi 実験にも効果的な、恒常的に遺伝子をノックダウンできるシステムです。shRNAは導入された細胞内で解離してsiRNAとなり、ターゲット特異的な遺伝子の発現を抑制します。siRNAを導入する方法では一過性の効果しか期待できませんが、shRNA発現プラスミドベクターを用いれば、siRNAを導入するよりも長期的なRNAi効果を発揮することができ、ターゲット特異的な遺伝子の発現を抑制します。

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shRNAレンチウイルスパーティクルによるノックダウンプロトコール

shRNAベクターはプラスミドDNAの形状でも細胞にトランスフェクションすることができますが、ウイルス粒子(ウイルスパーティクル)に封入することで細胞への導入効率が向上しsiRNAの安定発現を行うことができます。 MISSION® shRNAは各ターゲット特異的にデザインされた配列を持ち、レンチウイルスパーティクルに封入されたshRNAも利用することができます。 ここでは、shRNAレンチウイルスパーティクルによるノックダウンプロトコールを紹介します。

<1日目>

  1. トランスフェクションの24時間前に哺乳動物細胞をプレートに撒いて培養する。
  2. トランスフェクションは50~80%コンフルエントで行う。

<2日目>

  1. ウイルスパーティクルストックを氷上に出してゆっくり解凍する。

  2. トランスフェクション効率を高めるためにHexadimethrine bromideを細胞に添加(最終濃度8 μg/mL)して振盪する。ただし、神経細胞の初代培養などにはHexadimethrine bromideは不適。

  3. 適した量のウイルスパーティクルを添加して振盪する。初めての場合は、幾つかのmultiplicity of infection(MOI)を試すこと。※MOI:細胞に対するウイルス粒子の個数

  4. 37℃で一晩インキュベートする。ただし、一晩のインキュベートで細胞毒性が生じる場合は、4時間インキュベーションを行った後に培地交換する。

<3日目>

ウイルスパーティクルを含む培地を除去し、新しい培地に交換する。

<4日目>

A. トランジェント(一過性発現)で実験する場合 細胞を回収してqRT-PCRなどでノックダウン効率を検証する。 B. ステーブル(安定発現)で実験する場合 培地を適当量のピューロマイシンを含む培地に交換する。細胞により至適濃度は異なりますが、1~10 μg/mLが標準的。

<5日目以降(ステーブルの場合のみ)>

  1. 3~4日ごとに培地を適当量のピューロマイシンを含む培地に交換する。(一般的に10 ~ 12日後くらいでクローンが確立)。

  2. 5クローン以上をピックしてノックダウン効果を検証する。

以上、shRNAレンチウイルスによるノックダウンプロトコールを紹介しました。このように数日間にわたって実験を行う場合は、失敗して貴重な時間とサンプルを無駄にしないためにも、事前に手順を頭に入れ、しっかりと準備を整えてから行いましょう。

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