研究生活に役立つ!研究者のためのSNS活用法

研究生活に役立つ!研究者のためのSNS活用法

SNSは研究生活も助けてくれる

総務省の情報通信白書(平成29年版)※によると、LINE、Facebook、Twitterなど、日本でよく使われている代表的な6つのSNSのいずれかを利用している人の割合は、2012年の41.4%でしたが、2016年には71.2%にまで上昇しています。SNSは多くの人にとって、ただの娯楽ツールというだけでなく、情報通信の貴重な手段のひとつになっているのではないでしょうか。

※総務省情報通信政策研究所「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」より

研究者も例外ではありません。ツイッターやフェイスブックを覗くと研究者のアカウントがたくさんあります。SNSはちょっとした息抜きになるだけでなく、うまく使えば研究生活を助けてくれるツールになります。今回は、研究者に特化したSNSではなく、TwitterやFacebookなど一般的なSNSを研究生活で活用する方法を特集します。

SNS活用法① 情報収集に役立てる:Twitter

さまざまなつぶやきが流れてくるTwitter。ちょっとした愚痴を書いたり、お気に入りのタレントやクリエイターをフォローしたりして、息抜きとして楽しんでいる人も多いと思います。ですが、最近では、情報収集のツールとして活用している研究者も増えてきました。

ジャーナルのアカウントをフォローしておけば、どのような論文が新規に掲載されたかを即座に知ることができます。実験が忙しくなるとジャーナルサイトを定期的に巡回するのを忘れてしまうこともありますが、ツイッターのつぶやきで目に留めた論文は記憶に残り、あとから調べなおすことができます。また、おすすめの論文をツイートしてくれる研究者の個人アカウントもあります。自分と興味が近い相手をフォローすることで、ひとりでは追いきれない論文の情報をカバーすることができます。

以下に情報収集におすすめのTwitterアカウントを紹介します。

■ジャーナルのアカウント

フォローしていると、掲載論文情報がfigureやイメージ画像のプレビュー付きでタイムラインに現れるます。ひとめで興味のある分野かどうかわかりやすく、おすすめです。以下に代表的なジャーナルのアカウントを挙げますが、他にもありますので、ぜひ探してみてくださいね。

  • Cell …@CellCellPress
  • Nature …@nature
  • Science …@sciencemagazine

■情報サイトのアカウント

科学的な読みものやインタビュー記事などを載せた情報サイトも、ツイッターアカウントをもち更新情報などを発信しています。一度にたくさんの記事を読むのは大変ですが、休憩しているときにタイムラインにふらりと現れた更新情報なら、気楽に読みにいくことができます。お気に入りのサイトがある人は、ツイッターアカウントをもっていないか、探してみてもいいかもしれませんね。

  • Chem-Station …@chemstation
    日本最大の化学ポータルサイト「Chem-Station」のアカウント。記事の更新情報だけでなく、気になる科学ニュースを幅広くキャッチして発信してくれます。

  • 新着論文レビュー & 領域融合レビュー…@first_author
    トップジャーナルに掲載された日本人著者の生命科学分野の論文について、論文の著者自身の執筆による日本語レビュー紹介するサイト「新着論文レビュー」のアカウント。更新情報をつぶやいてくれます。

  • WIRED日本版…@wired_jp
    テクノロジーに関する幅広い話題を提供する「WIRED日本版」のアカウント。自分の専門分野からひととき離れて未来に想いを馳せると、視野が広くなるかもしれません。

  • メルクライフサイエンス…@MerckmilliporeJ
    メルクライフサイエンスのアカウント。研究者向けお役立ちサイトM-hubの更新情報や試薬のセール情報などを発信しています。また、Twitterだけでなく、LINEでも発信しています(LINE ID:@merck)。LINEをよく利用している人はこちらのほうが便利かもしれませんね。

SNS活用法② 研究者とつながる: Twitter、Facebook、LINE

異分野の研究者とネットワークを形成したいときには、今までは学会などで知り合うチャンスを待つしかありませんでした。でも、SNSを活用すれば、簡単に他の研究者と交流できます。どの分野の研究者かわかるプロフィールを載せておけば、Twitterで他の研究者とつながりやすくなります。お互いにフォローしあい、たまにリプライのやりとりをしあう関係から、実際に会ってみて意気投合し、共同研究に発展することもあるでしょう。ネット上のつながりとはいえ、まったく面識がない状態からスタートするよりも、あらかじめ知り合いになっていると、何か質問をしたり共同研究をお願いしたりするときも話が早いです。

また、今度は逆に、学会や就職活動などで知り合いになったときに、SNSのアカウントを交換しておけば、その後も長く関係を続けていくことができます。SNSでつながっていると連絡をとるのに便利です。SNSでやり取りする場合は、長い文章は書きにくいので要件だけ簡潔に伝えることになります。E-mailに比べてレスポンスが早い場合が多く、迅速なやりとりが可能になります。

LINEでグループを作り、情報交換をするのも有効です。通知の多さで研究中に気が散ってしまっては本末転倒ですが、適度な利用なら有用です。同世代の仲間と研究屋就活の情報を交換したり、気楽なやり取りを交わしたりできるLINEは、孤独になりがちな研究生活の励みになります。

Facebookのメッセンジャーは通話をすることもできますので、通話料を気にせず、海外に住んでいる研究者と話をすることができます。

SNS活用法③ 共同研究の効率を高める:Slack

厳密にいうと、TwitterやFacebookのようなSNSとは違うのですが、ぜひ取り上げたいのが「Slack」です。比較的新しいサービスなので聞いたことがないという人も多いかもしれませんが、アメリカで2013年にスタートしたばかりのビジネス向けのチャットサービスです。現在、日本でもIT業界を中心に広まっています。

Slackはチームでリアルタイムのコミュニケーションができるツール。海外留学している複数の研究者に取材をしたところ、多くの人が使っているとか。スマホから簡単に操作できること、ファイルを手軽に共有することがメリットだと言います。そうした特徴からか、Slackを研究室に取り入れて、研究室のスケジュール管理や機器の使用管理、情報交換などに役立てているところもあるということです。

例えば複数人に一斉に告知をする必要がある場合もメールだと見逃してしまう可能性がありますが、Slackを使えばさっと目に入れることができます。研究室内で顔を合わせる時間が違ったり、距離が離れている場合に連絡を取るのにも便利です。論文のリンクを共有して、ディスカッションすることもできるでしょう。さまざまな使い方の可能性が広がるこれからのオンラインツールと言えるかもしれません。

以上、研究者のSNS活用法を紹介しました。SNSはうまく活用すれば便利な反面、のめりこみすぎると研究の時間が奪われたり、情報過多で疲労したりする危険性があります。また、コミュニケーションのハードルが低いからといって、相手の時間をいただいていることを忘れてしまってはいけません。SNSの頻繁なやりとりが苦手な人もいます。ひとつのツールとして、うまく研究生活に活用していってくださいね。

関連情報

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