研究者が「ぼっち」から抜け出しネットワークを構築する方法
研究室でひとりぼっちは、むしろ絶好のチャンスと考える
多くの理系学部が4年で研究室に配属されます。同じ研究室に配属されるのは多くて数人、中には同じ学年はひとりだけという研究室もあります。いつも同学年の人に囲まれていた学部3年生までと違って、突然「ぼっち」になってやっていけるだろうか……と不安な人も多いでしょう。
実験中はひとりの方が集中できますが、ひとりきりだとさまざまなデメリットが生じることも事実です。情報交換やアドバイスを得ることができませんし、新たな発想や刺激も入りにくくなります。でも、心配ありません!研究室でひとりぼっちでも、研究室の外に様々なつながりを持つことができれば、そのデメリットを大きく上回るメリットがあります。
<研究室外で研究者ネットワークを構築するメリット>
- 自分とは異なる技術や知識をもつ研究者を巻きこんで研究を行える。
- 他の分野にも知識が広がり、最新の技術や研究成果をキャッチアップできる。
- 研究者ならではの悩みの共有や情報交換ができる。
- 研究だけでなく人間としての幅も広がり、新たな発想を生み出せる。
- 自分が専門外のことについて質問できる。
- 業績がまだ出ていなくても研究者としての信頼性を確保でき、グラント獲得へ有利につなげることができる。
- 就職情報を交換することができる。
いかがでしょうか?「ひとりぼっちでも全然困らないよ」という人も、これらのメリットを見れば、少し考えが変わるかもしれません。
研究室内でひとりぼっちな人は、新たなネットワークを構築する絶好のチャンスです。では、具体的に先輩たちがどのような方法で研究者ネットワークを築いていったか、アドバイスを見ていきましょう。
研究者ネットワーク構築アドバイス1:学会や研究室では積極的に質問する
学会は自分の研究をアピールできると同時に、交流が広がる格好の機会です。魅力的な研究発表を行えば自然に交流の輪が広がりますが、自分が発表しない場合も、積極的に質問することが大切です。将来その分野で研究者として生きていこうと思えば、顔を売ることも重要。毎回質問をしていれば、きっと名前を覚えてもらえるはずです。
大きな学会に出席するだけでなく、小さな専門性の高い学会に参加することも、ネットワーク構築に有効です。世界中からその分野の専門家が集まってきているはずなので、実りの多い日々を過ごすことができるでしょう。そうした学会は夜にバータイムがあることもしばしば。社交的な場に出るのは苦手だという人も、勇気を出して飛びこみましょう。人のつながりは、将来、研究や進路の面で役立ちます。あのときがんばってよかったと思う日がきっと来ますよ。
また、研究室でも積極的に質問することは大切です。忙しい先輩研究者に話しかけるのをためらう人も多いと思いますが、勇気を出してわからないことを聞いてみると、ほとんどの人は応えてくれます。どの研究者も最初は初心者だったのです。その苦労を経験しているからこそ、みんな熱心な後輩には自分が知っていることを惜しみなく教えたくなるものです。
研究者ネットワーク構築アドバイス2:ネットワークの場がなければ自分で作る
交流の場がなければ自分で作ってしまうのもおすすめです。すでに関係性ができあがっているグループにひとりで飛び込むよりも、自分が中心になって人を集めたほうが、気持ちの上でのハードルは低いかもしれません。
たとえば、ひとりでは読み切れない英語の教科書をみんなで分担を決めて読んでいく輪読会を主催するのはおすすめです。輪読会や抄読会はそれぞれの研究室で行われていると思いますが、自分で主催する会は、これとは違った経験を積むことができます。「ライフサイエンス研究者におすすめする8冊の本」で紹介した定番本なら研究分野の違う人たちとも一緒に読むことができますので、ぜひ挑戦してみてください。異なる分野の人とつながることで、自分の研究に閉じこもらず新しい視点を手に入れることができ、研究の面白さが深くわかるようになります。
また、定例の食事会や飲み会を主催してもよいでしょう。他の研究室に散らばった同学年の人たちに声をかけ、みんなでテーブルを囲みましょう。学位審査や就職活動など、人生のステージを共にすることの多い同級生たちと情報交換することは、有意義なだけでなく心の支えにもなります。周りに交流できる仲間がいない場合は、SNSを利用してネットワークの場を作るのもひとつの手です。自由な発想で、自分が楽しく続けられそうな方法を見つけてみてください。
研究者ネットワーク構築アドバイス3:日本から一度外に出てみる
海外に留学すると、日本にいるときよりも交流の幅は広がります。研究室には各国から留学生が来ていますし、建物の中にもさまざまな分野の研究者がいます。また、日本人研究者が多い場所では、たいてい日本人研究者が集まる勉強会やコミュニティが存在しています。そこには自分とは違う分野の研究者たちがいます。
一方、日本人が少ない場所では、それだけで目立つので、誰かが「他の日本人を知ってるよ!」と紹介してくれて、自然にネットワークができていくことが多いそうです。
異文化の中で同じような苦労をした仲間同士、やはり固いきずなが結ばれます。「留学から帰ってきた後も交流が続いている」と多くの留学経験者が語ってくれました。
研究者同士の人脈は、将来のあなたを必ず助けます。人のつながりは思わぬところであなたを助けてくれます。若いときのつながりが、将来の研究者人生にずっと影響することも多いのです。研究を助けてくれたり、就職につながったり、人生のパートナーに出会ったりすることだってあるかもしれません。「ぼっち」から抜け出す第一歩を踏み出してみませんか
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