生体サンプルからのダイレクトPCR

生体サンプルからのダイレクトPCR

生体サンプルからのダイレクトPCRとは

通常のPCRでは、試料から核酸を抽出・精製したDNA溶液を使って行いますが、ダイレクトPCRでは、核酸を分離せずに、細胞または組織などの試料を、特別に調製した緩衝液中で溶解してPCR反応液を作成します。ただし、一般的に、生体サンプルからDNAを抽出してPCR反応液を作成するのは、時間と手間のかかる作業です。ターゲットの遺伝子をPCRで増幅するためには、生体サンプルを酵素や界面活性剤、物理的な処理などでライセートの状態にしてからゲノムDNAを抽出する必要があるからです。サンプルがマウスの尾や植物の種子など溶解しにくい材質の場合は、ライセート化とDNA抽出に数時間から一晩かかることもあります。

キットで大幅な時間短縮に

Extract-NAmp(XNAシリーズ)を用いると、長時間のサンプル酵素処理や溶解液の精製過程を省くことができ、抽出物をそのままPCRを行えるため、時間と手間を大きく軽減できます。例えばマウスの尾からDNAを抽出する場合、従来の方法ではプロテイナーゼK(ProK)を使った処理に約8時間から一晩かかりますが、XNAを用いるとわずか10分で抽出が完了し、3分間の熱処理後そのままPCR反応のテンプレートとして使用できます。 XNAシリーズには、哺乳動物組織用、血液用、植物用、種子用がありますので、用途に応じて選択しましょう。 以下に、キットの内容を示します。

<キットに含まれている主なもの>

  • 抽出溶液

  • 中和溶液(または希釈液)

  • Taq DNAポリメラーゼを含む2x PCR反応ミックス

キットに付属するPCR反応ミックスは通常の透明なタイプ(Extract-N-Amp PCR Reaction Mix)と赤い色素が含まれたタイプ(REDExtract-N-Amp PCR Reaction Mix)から選べます。赤い色素はアガロースゲル電気泳動のトラッキング用色素で、PCR反応後に電気泳動を行うときに便利です。 さらに、組織用と植物用には、PCR反応ミックスにSYBR GREENを含有しているキットがあり、リアルタイムPCRに適しています。 各キットの標準操作のサンプル量の目安を示します。

<各キットの標準操作のサンプル量>

■組織・細胞用キット マウス尾 0.5~1cm 体毛 1本 動物細胞 2~10mg 唾液 or 口腔粘膜組織 10μL ■血液・血液カード用キット 全血 or 血液カード 10μL ■植物用 植物の葉のくりぬき 0.5~0.7cm 種子 1粒

<各キットの標準操作>

以上、生体サンプルのPCRを行うときに便利なキットExtract-NAmp(XNAシリーズ)を紹介しました。Extract-NAmp(XNAシリーズ)を用いれば実験時間が大幅に短縮されます。また、多数の検体でPCRを行うジェノタイピングにも有用です。うまく利用して実験の効率化を図ってみてくださいね。