吸湿による試薬の固化を防ぐ「Redi-Dri™」とは
吸湿性試薬の「塊」に困っていませんか?
開封して時間が経つと、試薬ボトルの中で水分を吸収する吸湿性試薬。水分を吸収した試薬はボトルの中で固化し、塊を形成します。
このような状態になってしまうと実験前に塊を砕くという作業が発生します。塊のままでは秤量しにくく溶かすのに時間がかかるからです。また、水分を含んだ試薬を用いると反応系に不要な水が混入することになるため、実験精度の面でも望ましくありません。
短期間で使い切れるよう少量ずつ購入するのもひとつの手ですが、注文の手間や試薬の管理に余計な手間がかってしまいます。
そこでメルクでは、そのような研究者の悩みを解決するために「Redi-Dri™(レディードライ)」シリーズを開発しました。この記事では、吸湿から試薬を守るRedi-Dri™シリーズの特長について詳しく紹介します。
Redi-Dri™シリーズはどれだけ吸湿を防ぐのか
Redi-Dri™シリーズには化学添加剤、凝集防止剤、疎水性化合物などは添加されていません。高品質の材料を使用し、十分に管理された環境のもと専用の装置を用いて調製し、パッケージングしています。
それでは、従来の試薬ボトルに対して、Redi-Dri™ボトルはどのくらい吸湿から試薬を守るのでしょうか。実験をして確かめてみました。
従来のボトルに入った塩化カリウムと、Redi-Dri™塩化カリウムを、加湿環境下(相対湿度85±5%)に長期間放置し、乾燥減量(LOD: loss on drying)の経時変化を観察しました。LOD分析は、月に1回、5gのサンプルを取り出し、それらを減圧下で130℃、4時間乾燥させて行いました(図1)。
従来のボトルに入った塩化カリウムは、時間が経つほど含まれている水分量が多くなっています(赤いライン)。図1の写真(左)からわかるように、2ヶ月の時点でボトルの中には大きな塊が形成されてしまいました。
一方、Redi-Dri™ボトルに入った塩化カリウムは、水分含有量が減少しています。実験の結果、Redi-Dri™塩化カリウムは、9ヶ月間の試験を通して固化することなく「さらさら」の粉末状態をキープすることがわかりました。
吸湿を防ぐ「Redi-Dri™」を選ぶメリット
Redi-Dri™シリーズの開発チームは、さらに長い期間にわたってRedi-Dri™製品と、従来のボトルで保管されている製品との比較試験を行っています。すべてのテストケースで、Redi-Dri™製品を高湿度(85±5%)に制御した環境下で18ヶ月以上保管。その後のテストでは、すべての製品が品質規格を満たしていました。
さらに、溶解性とICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析計)による微量金属含量に関する試験も行っています。対照サンプルと比較した場合、Redi-Dri™シリーズに差異は見られませんでした。
以上の結果から、Redi-Dri™シリーズは吸湿を防ぐことができ、実験者の労力を軽減して実験精度を高めるのに有効なことがわかります。
Redi-Dri™シリーズを使用すれば、固化した粉末を粉砕する労力および時間を削減することができます。また、さらさらの状態を維持しているため、迅速なサンプル前処理、試薬の溶解が可能です。固化による試薬の廃棄も避けることができるでしょう。
さらに、安全面からもメリットがあります。Redi-Dri™シリーズを使用することで、粉砕作業の際の裂傷や捻挫などのケガ、および、化学物質の暴露のリスクを低減することができるからです。
高温多湿な日本では、万全の注意を払っていても吸湿性試薬の固化を防ぐことは難しいものです。試薬の固化や塊の粉砕に苦労したことのある人は、ぜひRedi-Dri™シリーズの導入を検討してみてください。
Redi-Dri™動画
Redi-Dri™製品ラインナップ一例
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ナトリウム塩
塩化ナトリウム anhydrous, free-flowing, Redi-Dri, ACS reagent, ≥99%
酢酸ナトリウム anhydrous, free-flowing, Redi-Dri, ACS reagent, ≥99.0%
水酸化ナトリウム anhydrous, free-flowing, pellets, Redi-Dri, ACS reagent, ≥97% -
リチウム・カリウム・セシウム塩
塩化カリウム anhydrous, free-flowing, Redi-Dri, ACS reagent, ≥99%
炭酸カリウム anhydrous, free-flowing, Redi-Dri, ReagentPlus, 99%
ヨウ化カリウム anhydrous, free-flowing, Redi-Dri, ReagentPlus, 99% - その他無機塩
- 有機酸、ほか
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