アガロースゲル電気泳動の原理と方法
アガロースゲル電気泳動の原理
アガロースは海藻から得られるポリサッカライド(多糖類)です。アガロースをバッファーに溶かして作成するアガロースゲルは比較的大きな孔をもつ網目構造になっており、その孔より小さな分子は網目をくぐって移動することができます。 DNAを構成するヌクレオチドは荷電したリン酸基をもつため負の電荷を帯びており、アガロースゲルの片側にDNAを注入して電流を流すと、DNAは陽極に引き寄せられて移動します。このときアガロースゲルの網目がDNAの移動を邪魔するため、同じ電流をかけてもサイズが小さいものは早く、大きいものは遅く陽極に移動します。この性質を利用して、DNAを分子の大きさで分離する操作が電気泳動です。
アガロース電気泳動の基本操作
アガロース電気泳動ではサイズが5~20 kbp程度のDNAを分離するのに適しています。より小さなDNA断片の分離には、アガロースゲルの代わりにポリアクリルアミドゲルを用いて行います。 ここでは、アガロースゲルを使ったDNAの電気泳動の方法について紹介します。
<アガロースゲルの作成>
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電気泳動用または分子生物学用グレードのアガロースを用意し、サンプルのDNAのサイズと分離に有効なゲルの濃度を考えてアガロースゲルの濃度を選択し、秤量する。
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三角フラスコに1xTAEバッファーを入れ、秤量したアガロースを加えて軽く混和する。
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三角フラスコの口を耐熱性のあるラップで覆い、ラップには数か所、穴を開ける。電子レンジで数分間温め、フラスコをゆすって撹拌する。このとき、溶液が泡立たないよう、フラスコを机の上にそって回転させるように揺すること。
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もう一度電子レンジで 1~2 分間温め、フラスコを揺すって撹拌する。これを溶液が透明になるまで繰り返す。
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ゲルが50~60℃になったら、ゲル形成トレイに静かに流し込みコームを挿す。ゲル溶液の表面に気泡が生じた場合は、マイクロチップやキムワイプの先端で吸い取る。
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ゲルが固まるまで室温で静置する(通常30分間~1時間程度)。固まったゲルはすぐに使用するか、保存する場合は溶媒(この場合はTAEバッファー)と同じ溶液中に一時的に保存する。
<電気泳動>
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アガロースゲルを電気泳動装置にセットし、泳動バッファー(アガロースゲルを溶かしたものと同じ組成)をゲルが完全に浸るよう満たし、コームを注意深く抜く。
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電極にコードをとりつける。泳動の上流側を陰極(黒)、下流側を陽極(赤)にする。
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泳動するサンプルをローディングバッファーと混ぜる。このときサンプル:ローディングバッファー=1:3~1:6になるように添加する。
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サンプル、分子量マーカーをアガロースゲルにロードする。
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電気泳動装置に電流を流し泳動を行う。カラーマーカーであるBPBが7~8割移動したところで泳動を止める。
ここまでが基本的な電気泳動の操作です。このあとはエチジウムブロマイドなどで染色してDNAを検出します。場合によっては、検出した目的のDNAをゲルから切り出して回収し、後の実験に用います。 DNAの分子量を推定するマーカーにはいくつか種類がありますので、目的のサンプルDNAの予想サイズに応じて選びましょう。
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