図解で分かる!シリンジフィルターの使い方

図解で分かる!シリンジフィルターの使い方

シリンジフィルターは、分析サンプルの前処理や、細胞滅菌を行うために、溶液をろ過するデバイスです。日常的にシリンジフィルターを使っていても、フィルターの材質やサイズの違い、その後の実験との相性を気にすることは少ないかもしれません。

しかし、フィルターの性能とサンプルの相性などを知っておくと、新しい実験系を構築するときやトラブルシューティングのヒントに役立てることができます。

この記事では、分析サンプルの前処理に向いたフィルター、培地などの滅菌用途に向いたフィルターに分けて紹介します。

シリンジフィルターを使う場面と直径の選択

そもそも、シリンジフィルターを使うべき適切なサンプル容量とはどれくらいなのでしょうか。サンプル容量に合わせた適切なデバイスを選択しないと、目詰まりなどが起こることにより、サンプル回収率が低下することがあります。

一般的には、シリンジフィルターを用いる加圧ろ過は、1 mL〜200 mL程度のサンプル容量が最適とされています。これよりもサンプルが少ない場合には遠心ろ過が、これよりも多い場合には吸引方式が向いています。

ただ、1 mL程度のサンプル量であってもサンプル数が多いときには、手作業となるシリンジフィルターよりも遠心ろ過による同時処理のほうが効率がよいでしょう。

処理目安量とろ過方式の組み合わせ

(出典元:分析前処理に使う精密ろ過フィルターの選び方 | M-hub(エムハブ)

製品ごとに目安処理量が記載されているので、サンプル容量に合わせて選択してください。フィルターの径が大きくなるほど、処理量が大きくなります。例えば、Millex®-GVでは、4 mm径フィルターなら目安量は1 mL、33 mm径フィルターなら100 mLのようになります(製品やフィルターの種類によって、同じ径でも目安量は異なります)。

次に、シリンジフィルターを分析用サンプルの前処理目的で使用するときの注意点と、培地滅菌目的で使用するときのポイントを紹介します。

分析用サンプルを前処理するときの注意点

分析用サンプルの前処理としてシリンジフィルターを用いる場合、まず注意すべきことは、ろ過後に行う分析方法とフィルター(メンブレン)材質との相性です。化学適合性(溶液中の成分によるメンブレンへのダメージが少ないこと)や、特定の成分の低吸着性などをもとに、メルクでは次の表のように推奨しています。

メンブレン材質・孔径と分析方法の組み合わせ

(出典元:分析前処理に使う精密ろ過フィルターの選び方 | M-hub(エムハブ)

代表的な材質について紹介します。

  • 親水性ポリテトラフルオエチレン(PTFE)
    もともとは疎水性ですが、メンブレンでは表面が親水化処理されています。無極性溶媒と極性溶媒の両方に適合するため、水溶液から有機溶媒まで幅広い溶液に使用できます。化学適合性が高いのでメンブレン成分の溶出が少なく、高感度分析にも適しています。製品例:Millex®-LG

  • 親水性ポリフッ化ビニリデン(PVDF)
    タンパク質極低吸着のため、タンパク質やペプチド分析の前処理に適しています。一方で、極性が強い溶媒には適していません。製品例:Millex®-HV

  • ポリエーテルスルホン(PES)
    メルクのPES膜は非対称構造をしており、高流束のため、夾雑物の多いサンプルや粘性のあるサンプルのろ過に適しています。比較的タンパク質の吸着が低いフィルターのため、分析前処理にも適しています。製品例:Millex®-HP

また、分析サンプルの前処理で主に使われるフィルター孔径には主に0.22 μmと0.45 μmの2種類があります。通常は0.45 μmのフィルターが用いられることが主ですが、高感度に検出するUPLCではより微細な粒子を除去する必要があるため、0.22 μmのフィルターが用いられることがあります。

溶液を滅菌するときのポイント

ライフサイエンス分野でのシリンジフィルターの主要な用途は、ろ過滅菌です。確実なろ過滅菌を行うためには、フィルターの孔径の選択が重要です。

主要成分と粒子サイズ

(出典元:ろ過・フィルターのすべて - Filter Quest|メルクミリポア、一部改変)

一般的なろ過滅菌であれば、0.22 μmのフィルター孔径で十分です。ただ、マイコプラズマ属の細菌の除去を目的とする場合には、孔径0.1 μm以下のフィルターが適しています。

マイコプラズマ属は真核生物の細胞に寄生できる細菌で、細胞培養に影響を与えます。そのため、細胞培養実験ではマイコプラズマ陰性が必須となります。マイコプラズマ属の中には大きさが0.2 μmこの場合、フィルター孔径が0.1 μmのものを選択する必要があります。製品例:Millex®-VV

なお、フィルター孔径が小さくなるほど、どうしても目詰まりを起こしやすくなります。その解決策として、事前に比較的大きい粒子を取り除く「プレフィルトレーション」が有効です。プレフィルトレーションでは、約1 μm以上の粒子をトラップできる繊維性のデプスフィルターがよく使われます。デプスフィルターは、表面だけでなく繊維状となっているため、内部でも対象物を補捉します。

一方、メンブレンフィルターは表面(1次側)で対象物を捕捉し、孔径以上のサイズの粒子は一切透過させない、「絶対孔径」で表示されます。

(出典元:使い分けが重要!メンブレンフィルターとプレフィルターの違いとは | M-hub(エムハブ)、一部改変)

目的に応じてうまく使い分けましょう。

シリンジフィルターの使い方を再確認

最後に、改めてシリンジフィルターの使い方を見直しておきましょう。ここでは滅菌用途の手順を示します。

(出典元:Millex® (33 mm) Sterile Syringe Filter、一部改変)

シリンジフィルターを正しく選んで効率アップにつなげよう

シンプルだけれども奥が深いシリンジフィルター。ちょっとした工夫や知識で、ろ過操作の作業効率や回収効率は大きく向上します。何気なく使っているからこそ、改めて原理や応用を知っておきましょう。

シリンジフィルターを含め、分析前処理に使うフィルターの選び方については、次の記事で詳しく紹介されています。
分析前処理に使う精密ろ過フィルターの選び方

自分の考えている実験用途に最適なシリンジフィルターがわからない場合は、メルクのシリンジフィルターであるマイレクスシリンジフィルターを取り扱うページ「マイレクスファインダー」を見てみましょう。いくつかの質問に答えるだけで、おすすめのシリンジフィルターの一覧を見ることができます。
マイレクスファインダー

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