使い分けが重要!メンブレンフィルターとプレフィルターの違いとは

使い分けが重要!メンブレンフィルターとプレフィルターの違いとは

有形物を表面で捕捉するメンブレンフィルター

スクリーンフィルターや精密ろ過膜とも呼ばれるメンブレンフィルターは、一定の大きさの菌体や粒子などの有形物、不溶物を「完全捕捉」するフィルターのことを指します。完全捕捉とは、その名のとおり、液体に含まれる有形物や不溶物を完全に捕捉するという意味です。その捕捉率は、実際には99.9%や99.99%と表記されることが多いですが、理論上は100%になります。

それでは、なぜメンブレンフィルターの捕捉率が理論上100%になるのでしょうか?メンブレンフィルターの製品スペックで表示されている孔径は、フィルター上の「最大孔径」を表しています。そのため、最大孔径以上の大きさの有形物はメンブレンフィルター内部には入り込めずに、フィルター表面で捕捉されてしまうため、完全捕捉と呼ばれるのです。

下図がメンブレンフィルターの模式図です。メンブレンフィルターの表面で有形物が捕捉されていることがわかります。

図1 メンブレンフィルターの模式図

メンブレンフィルターを使用するにあたって、1点注意しなければならないことがあります。メンブレンフィルターの製品スペックで「最大孔径」は保証していますが、最大孔径より小さい孔については規定していませんので、最大孔径より小さい有形物がろ過されることを保証していません。最大孔径より小さい孔がどのくらいの割合であるかはそれぞれのフィルターで差があります。この差は、流量の違いに大きく影響を与えますのでメンブレンフィルターの流量を試験評価の対象に使用することはできません。

有形物を内部で捕捉するプレフィルター

メンブレンフィルターに対して、ろ紙やデプスフィルターとも呼ばれるプレフィルターは、内部捕捉と呼ばれる捕捉方法で有形物を捕捉します。内部補足とはフィルター表面だけでなく、フィルター内部で有形物を捕捉する方法です。

プレフィルターの多くは、ガラス繊維やセルロース繊維などの繊維状の素材を押し固めてフィルター状にして作られています。さまざまな大きさの繊維を押し固めて作られているので、太い流路の部分や細い流路の部分が存在します。

大小さまざまな有形物が含まれている液体をプレフィルターでろ過すると、プレフィルターの表面や内部に捕捉されます。その捕捉は絶対的なものではないことに注意しましょう。有形物が少量の場合はフィルター内部にとどまることができても、ろ過する液体が増えるにつれて、その場所にとどまることができません。少しずつ奥へと進み、最終的にはフィルターからに有形物が流出してしまう場合もあります。

ガラスファイバーフィルターのようにガラス繊維を押し固めたプレフィルターの捕捉能力は、フィルターの厚みと密度によって決まります。フィルターが厚く、密度が高いほど捕捉性能は高くなります。ですが、プレフィルターはメンブレンフィルターのように絶対補足ではないので、最終的に有形物がフィルターから流出する可能性があることを覚えておきましょう。

下図がプレフィルターの模式図です。プレフィルターの内部で有形物を捕捉し、一部の有形物が流出していることがわかります。

図2 プレフィルターの模式図

プレフィルターの製造工程で、繊維状の素材を押し固める際に接着剤を混ぜて圧縮することで繊維をほつれにくくしている製品もあります。メルクのガラスファイバーフィルターの一部にはアクリル系の接着剤が使用されています。ろ過する液体によっては、接着剤の成分がろ過時に溶出する恐れがありますので、プレフィルターを使用する際には接着剤が使用されているのか、またどのような接着剤が使用されているのかを注意しなければなりません。

以上、メンブレンフィルターとプレフィルターの違いについて紹介しました。その違いとは、捕捉方法による捕捉能力の差であり、絶対捕捉なのか、内部補足なのかの違いになります。ろ過する液体や実験の目的に合わせて、メンブレンフィルターがいいのか、プレフィルターがいいのか、それとも両方の組み合わせがいいのかを適切に判断しましょう。