迅速な測光測定テストキットを用いた飲料水中の鉄の高感度測定

迅速な測光測定テストキットを用いた飲料水中の鉄の高感度測定

優れた鉄含有量測定機能を持つ「Spectroquant® Ironテストキット」

Spectroquant® Ironテストキットは、飲料水、ミネラルウォーター、地下水、および湧水の鉄含有量分析において、ICP(誘導結合プラズマ)またはAAS(原子吸光法)に代わる優れたキットです。

ICP-MS法によって得られる結果と同等の結果をもたらす上に、液体サンプルにキットの試薬を添加し、発色させ、 装置で測定するというシンプルな操作ですみます。

ICP-OESまたはICP-MSシステムの購入が経済的な理由で妥当でない場合、Spectroquant® Iron テストキット(カタログ番号114761)が、飲料水、ミネラルウォーター、地下水、および湧水の鉄含有量を迅速、高感度、かつ正確に判断する代替方法になります。

飲料水の品質は、EU理事会指令98/83やWHOガイドラインなどのさまざまなガイドラインによって規制されています。これらの規制では健康への害と感度および技術的理由が考慮されています。 例えば、鉄は、飲料水に通常含まれる濃度では、健康上のリスクを示しません。しかし、鉄の濃度が高くなると、水道管などに析出物が形成されたり、水が茶色に変色したりします。

無色透明の水の供給を確実にするため、飲料水には各国ごとに規制が設定されています。 EUで設定された鉄の限度は0.2 mg/L Feであり、米国EPAでは0.3 mg/L Feと規定されています。また、水道管における鉄分析出を防止するために、0.02 mg/Lの限界値を超えることはできません。この規制限界値に確実に入るように、飲料水では、多くの場合、鉄の沈殿処理がなされ、鉄分を実質的に排除し、鉄濃度をより低いppbレベルに減少させています。

微量レベルの定量のための高感度分析法には、フレーム原子吸光法(F-AAS)および誘導結合プラズマ(ICP-OES)を用いた発光分光法があります。 DIN EN ISO 38406-32によるF-AAS法の測定範囲は0.002-0.020 mg/L Fe、 DIN EN ISO 11885によるICP-OES法の定量限界値(LOQ)は0.002 mg/L Feです。どちらの分光法も定量限界値(LOQ)が非常に低く、規制限界値をクリアしているかどうか簡単に分析できますが、機器が高価であるというデメリットもあります。

分析用テストキット(迅速測光法)を用いた鉄の分析

高価な機器を購入することなく、迅速で高感度の結果を得るための現実的な方法は、迅速測光分析です。 分析用テストキットの特長は、一般に、その簡便さと操作の迅速性にあります。アプリケーション、測定範囲、および必要な精度によって方法を選択します。 鉄の分析の場合、2つの高感度な測光方法を選択できます。

APHA 3500-Fe BおよびDIN 38406-1による1,10-フェナントロリン法を用いた鉄の測定は、0.01 mg/Lのレベルまで測光測定を可能にします。より低いLOQが必要な場合は、トリアジン法を選択することができます。 この方法では、すべての鉄イオンが鉄(II)イオンに還元されます。 これらは、トリアジン誘導体を含有するチオグリコール酸緩衝液中で反応して赤紫色の複合体を形成し、これを測光的に測定します。100mmのセルとProve 600 UV-VIS分光光度計を用いることで、0.0025 mg/Lの測定が可能になります。

鉄の除去処理がされているサンプルや、鉄含有量が低いほとんどの飲料水サンプルでは、より高感度のトリアジン法を選択するとよいでしょう。 Spectroquant® Ironテスト(カタログ番号114761)キットの測定範囲は、0.0025〜5.00 mg/L Feです。 Spectroquant®分光光度計は、測定項目があらかじめプログラムされているため、時間をかけて検量線を作成する必要はありません。

また、サンプルを硝酸で酸性化して鉄を安定化させる必要があります。炭酸を含有するサンプルもまた超音波浴で脱ガスしなければなりません。測定手順の詳細な説明は、「水中の鉄の高感度測定」のアプリケーションに記載されています。

ICP-MSとSpectroquant® Ironテストの比較検証

ICP-MSとSpectroquant® Ironテストで検出の値がどのように違うのかを比較してみました。

5つの異なるミネラルウォーターの鉄含有量を、Spectroquant® IronテストキットおよびICP-MSによって測定しました。全ての測定をProve 600分光光度計を用いて行い、 参照システムには、Thermo Fisher Scientific社のHR-ICP質量分析計(Element 2デバイスの方法)を用いました。サンプルすべての鉄含有量は、それぞれの方法で得られるLOQ以下でした(Spectroquant®テストキットでは0.0025 mg/L、ICP-MSでは0.0007 mg/L)。

5つのサンプルに標準液を添加し、3つの異なる濃度レベルで鉄を加え、それぞれの回収率を測光法により測定したところ、添加した濃度の鉄を回収できていることが示されました(表1)。サンプルの回収率は、平均回収率95%で、89〜99 %の範囲でした。

表1 標準液添加後の鉄回収率

さらに検量線をカスタマイズすれば、より高い精度を達成することができます。 表2は、DIN 38402 A51およびISO 8466-1によって決定された、あらかじめプログラムされた方法(カタログ番号114761)と、測光テストキットを用いて0.0005-0.0100 mg/Lの測定範囲の検量線をマニュアルで作成した方法の性能特性を示しています。

表2 性能の特長比較

標準液添加の場合、カスタム検量線を使用することで、回収率のさらなる向上をもたらし、その平均値は101%を達成しました。 個々の値は95%〜106%でした(表3参照)。

表3 カスタム検量線を用いた標準液添加後の鉄の回収率

ここまではミネラルウォーターでの実験でしたが、鉄濃度が高い地下水と湧水のサンプルについても実験を行い検証しました。 測定は、あらかじめプログラムされた方法を用いて行い、ここでもICP-MS法を用いたリファレンス分析により測定結果を検証しました。 表4は、2つの方法で得られた結果の比較を示しています。

表4 地下水と湧き水の鉄成分(ICP-MSとSpectroquant® Ironテストキットの比較)

Spectroquant® Ironテストキットで得られた結果は、ICP-MS法で得られた結果と一致しています。ベンスハイム市(ドイツ)の地下水サンプルは2.7mg/Lという非常に高い鉄含有量であるため、規定の手法から逸脱して、10mmのセルを使用しました。ここでの回収率は100 %でした。 これらの結果から、非常に高濃度の鉄でさえ、Spectroquant® Ironテストキットによって正確に測定できることが示されました。

一方、鉄濃度が低い湧水サンプルの場合、測定結果は最大0.0008 mg/Lの差がありました。 測光法のLOQを下回る鉄濃度は、ICP-MS測定によって確認されました。

以上、「Spectroquant®Ironテストキット」の性能を調べた実験を紹介しました。F-AAS 、ICP-OESまたはICP-MSシステムのような高価な機器を購入することが難しい場合、迅速、高感度、かつ正確に鉄含有量を測定できるSpectroquant®Ironテストキットの使用は有効です。ぜひ、一度、検討してみてくださいね。