ICP・原子吸光(AAS)・イオンクロマトグラフィー用認証標準物質TraceCERT®の特徴とは?

ICP・原子吸光(AAS)・イオンクロマトグラフィー用認証標準物質TraceCERT®の特徴とは?

ISO/IEC 17025 とISO Guide 34 のダブル認定

TraceCERT®認証標準物質(CRM)は、ISO 17025(試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項)とISO Guide 34(標準物質生産者の能力に関する一般要求事項)の認定の受けた研究室で生産され、開発されています。

スイスのEMPAやドイツのBAM等の計量標準センターとの協力により、シグマ アルドリッチは長年に渡り、認証標準物質(CRM)生産の分野で広範な基礎知識を築きあげてきました。2004 年、EMPAの活動停止に伴い、シグマ アルドリッチはEMPAで計量証明と分析に携わっていた人材を採用し、より技術的なノウハウと経験を手にいれました。

また、高精度のCRMを供給するためにEMPAと同じ製造環境の施設をスイスのBuchsに建設。この、Buchsにある施設はスイスの認定機関であるSAS(Swiss Accreditation Service)による審査を受け、CRM生産者として最高信頼レベルである研究所の“ISO/IEC 17025”CRM生産者 “ISO Guide 34”のダブル認定を受けました。

“ISO/IEC17025”と “ISO Guide 34”のコンビネーションは、CRM生産者の“ゴールドスタンダード”認定とも呼ばれており、 2004 年にはILAC(国際試験所認定協力機構)が、すべてのCRM生産者にこのダブルの認定の取得を薦めています。

研究所をテストするためのISO/IEC 17025

シグマ アルドリッチは2007年中旬に“精度の高い計量による質量測定”と“高純度の出発原料からの均一溶液の重量調整”の2つの領域に対してISO/IEC 17025の認定を受けました。ISO/IEC 17025を満たす研究所で行われた分析結果は、特別な品質を証明するロゴが表示され、結果の信頼性を確認することができます。スイスではSASが認定した研究所に“Swiss testing”のロゴを使用する許可が与えられます。このロゴと研究所の各自の登録番号はCertificate(認証書)に表示されています。

CRM生産者に関するガイドISO Guide 34

さらに、シグマ アルドリッチは2007年末にISO Guide 34の“認証標準物質生産者”としての認定を得ました。ISO Guide 34は“標準物質の生産者の能力に関する一般的要求事項”です。ISO/IEC 17025に加え、CRM 生産に関する追加の要求事項があります。ISO Guide 34を持つCRM生産者はISO Guide 31(認証書及びラベルの内容)及びISO Guide 35( 一般的及び統計学的原則の認証)にも従わなければなりません。

TraceCERT®製品の製造工程

認証標準物質を製造するため、出発原料の選択から包装仕様の選定まで、工程全体に高い精度が必要です。下図に、TraceCERT®製品の製造と認証工程の概略を示します。

図1: TraceCERT®製品の製造と認証工程の概略

TraceCERT®の出発原料(図2)は、2つの異なった方法で特徴づけられます。

  1. 最も正確なメソッド(例:滴定)による純度の直接測定
  2. 国家計量標準(NIST®、BAMなど)との比較(純度は100%から不純物を差し引いた値)

これらの手法により純度を決定し、信頼性の高い2つの確立したトレーサビリティが得られます。

図2: 出発原料

出発原料は、計量前に前処理を行います。金属の場合は表面にエッチング加工を施し、塩の場合は乾燥させます。

計量操作は、SI unit kgに直接トレーサビリティにつながる、製造の重要なステップです。純物質を使用し行った重量調整がベースとなり、濃度単位の最も精密な較正手法である、質量・モル分率から質量分率に変換されます。

計量された出発原料は、高純度の酸で溶解し、原液が所定の濃度になるまで高純度の水で希釈します。この重量による方法により、較正溶液として精確な濃度となります。

数時間、容器を逆さにすることで溶液が均一化されます。また、ボトル封入ではクリーンルームで作業をすることによってコンタミネーションを防ぎます。ボトルに封入した溶液は、2ndリファレンス物質と比較します。TraceCERT®の不確かさは、全てのパラメーターの影響を受けます(ボトムアップアプローチ)。パラメーターの影響は図3を確認してみましょう。

図3: パラメーターの影響

TraceCERT®製品の保存と安定性

容器は、EMPAのSt.Gallen氏協力の下、溶液への不純物の浸出と溶媒の蒸発について研究を行い、高密度ポリエチレン(HDPE)ボトルで供給しています(Hgはホウケイ酸塩の白いガラス瓶)。加えて、ICPスタンダードはアルミニウム製のバッグに密閉されています。この包装により、低い不確かさと最大4年間の有効期限を保証しています。

TraceCERT®製品の認証

TraceCERT®製品には認証書が付属しています(図4)。ISO Guide 31の規定に従い、精確な容量、有効期限、トレーサビリティ測定、約70種類の不純物値(ICP スタンダードのみ)や拡張不確かさ等、ロットの仕様詳細を含む証明書です。

認証書はインターネット上で製品番号及びロット番号からダウンロードできます。さらに、ICP用製品の認証書については製品に添付してお届けします。

図4: 認証書

  • ①②: 認証値と不確かさ
    Certified values(認証値)はmg/L とmg/㎏としてレポートします。不確かさはすべての関係したパラメータを考慮し(ボトムアップアプローチ)図で示されます。
  • ③: トレーサビリティ ステートメント
    出発原料のトレーサビリティ測定値のために使われた技術とリファレンス: NISTR SRM 3140 / ICP-OES
    ボトルに封入された溶液のトレーサビリティ測定値のために使われた技術とリファ
    レンス: NIST SRM 3140 / ICP-OES
  • ④: 製品中の微量不純物
    ICPOES、ICP-MS、AAS、湿式化学分析法を用いて75成分を超える不純物を表記しています。このレポートはICP用標準溶液にのみ含まれます。イオンクロマトグラフィー用標準物質は最も関連のあるイオンについてレポートします。
  • ⑤: Exoiration Date(有効期限)
  • ⑥: Density(密度)
  • ⑦: サインと認定のスタンプ

以上、ICP・原子吸光(AAS)・イオンクロマトグラフィー用認証標準物質TraceCERT®の特徴についてご紹介しました。TraceCERT®について詳細をお求めの場合は、こちらをご覧ください。

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