【徹底比較】シリンジフィルターの性能

【徹底比較】シリンジフィルターの性能

理想的なろ過を実現するフィルターの条件

シリンジフィルターは、機器分析サンプルの前処理や少量のサンプルの滅菌、抗生物質・培地添加剤などの溶液をろ過減菌するツールです。

あらゆる実験や研究において、ろ過作業には正確性が求められます。またシリンジフィルターでは少量のサンプルを扱うことが多いため、サンプルのロスをなるべく防ぐことも重要です。それでは、これらを実現するために、フィルターに求められることとはなんでしょうか。

この記事では、小容量の液体サンプルろ過のスタンダードであるミリポアのマイレクス®シリンジフィルターと他の製品の性能を比較検証。さらに、マイレクス®シリンジフィルターがどのように作られているのか、その製造方法も紹介します。

シリンジフィルターとの性能比較

  1. 捕捉率

    まず、マイレクス®フィルターと他のフィルターの捕捉率を比較しました。下のグラフはミリポアと他社のシリンジフィルター(孔径0.2 μm)を用いたラテックス粒子の捕捉率試験の結果です。グラフからわかるように、EMDミリポアは、どの粒子についてもほぼ100%捕捉しました。

  2. 残液量

    次に、0.2 μm孔径PVDFメンブレンシリンジフィルターから回収した残液量を調べました。下のグラフが示す通り、マイレクス®フィルターは残液量が少なく、サンプルのロスを防ぐことがわかりました。

  3. HPLC規格フィルター

    HPLC規格フィルターはどれも同じようにクリーンというわけではありません。ラベルに「低溶出(low levels of extractables)」と表示されていても、条件が変わると溶出が高くなることがあります。これはメーカーによって溶出物試験の方法が異なるためです。

    そこで、HPLC規格シリンジフィルターの溶出物プロファイルを調べました。

    〔実験方法〕
    各シリンジで70%アセトニトリル水溶液をろ過し、ろ液の最初の1 mLを、214 nm設定のUV検出器を用いて逆相HPLCで分析。カラムから全ての不純物/溶出物を溶出させるため、HPLCにはC18カラムと0~100%アセトニトリル勾配を使用した。

    この結果が下の図です。親水性PTFEシリンジフィルターの溶出物が最も少なく、ナイロンシリンジフィルターでは4~6分の間に非常に強いピークが出ました。一方ポリプロピレンメンブレンでは4~7分の間に幅の広いピークが現れました。この範囲は目的のアナライト(標的物質)を溶出する重要な時間である可能性もあり、これらの溶出物があると定量や同定が非常に難しくなることが考えられます。

以上の結果から、マイレクス®フィルターが小容量ろ過に適した製品であることが示されました。

それでは次に、このような性能を実現するマイレクス®フィルターの特長を詳しく紹介していきます。

徹底した製造規格、マイレクス®フィルター

マイレクス®フィルターの製造工場があるのは、アイルランドの南部にあるコークという都市です。マイレクス®製品は、ISO14644-1で定められた規格のもと、医薬品基準を満たし、かつ完全自動化されたClass8クリーンルームで製造されています。なお、このルームでは視覚的・物理的検査も行われています。

製造工場は、ISO® 9001の認証も受けています。ISO®9001は、一貫した製品・サービスを提供し、顧客満足を向上させるためのマネジメントシステム規格です。 

さらにメンブレンの信頼性を向上させるために、カットされたメンブレンに対してロボットによる検査も行われています。品質管理システムでは一度に16個のメンブレンディスクを分析し、パラメータを表示します。

品質管理のために、工程内完全性検査と出荷前検査を行います。工程内安全性検査では、メンブレンの位置を確認する視覚的検査と空気完全性試験を実施し、製品が正確に製造され、メンブレンがデバイス内に完全に密封されていることを確認します。出荷前検査では、流速/バブルポイント試験、破裂試験、塩粒子チャレンジ試験、HPLC溶出物試験、IC溶出物試験を行い、シリンジフィルターのアプリケーション性能に影響する情報を取得します。

マイレクス®フィルターをおすすめする理由

マイレクス®フィルターの高い性能は、高品質な材料によっても支えられています。採用されているハウジング材はHDPEとPPです。どちらも溶出物が非常に少なく、幅広い範囲で高い化学適合性を持っています。

マイレクス®フィルターのハウジング材の溶出物プロファイルについての評価を行ったので見ていきましょう。

〔実験方法〕
メンブレンを含まないシリンジフィルターデバイスで各溶媒をろ過。ろ過後の溶媒1 mLを回収し、C18カラムとアセトニトリル0~100%の水/アセトニトリル勾配を用いた逆相クロマトグラフィーで分析した。

この結果が下の図です。クロマトグラムにピークが検出されなかったことより、溶出物がなかったことがわかりました。また、2分のところにピークがあるのは溶媒先端もしくはボイドボリュームで、17分あたりのピークは濃度勾配が終了し100%アセトニトリルから0%アセトニトリルに切り替わったことを示しています。

一般的にサンプルは移動相と全く同じ溶媒に溶解されることはなく、注入したサンプルの溶媒成分が最初に溶出され、カラムには残留しません。溶媒は検出波長(本試験では214 nm)の吸光度がわずかに異なる場合があり、溶媒先端に小さいピークが出ることがあります。

一方、勾配が100%有機溶媒から100%水まで変化する場合、吸光度の急激な変化が生じ、クロマトグラムの終盤が上昇してピークを示します。通常のクロマトグラフィーでは溶媒先端(採用しても保持および分離がないため)および勾配終盤(保持が過剰なため)は避けられます。目的はクロマトグラムの中央部分でアナライトを溶出することだからです。

以上、マイレクス®フィルターの様々な特長を紹介しました。直径のバリエーションは4、13、25、33、50 mmと種類も豊富にあるマイレクス®フィルター。まだ使ったことがないという方は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

 

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